2020 Fiscal Year Research-status Report
Does Cytochrome c Oxidase control proton-pump mechanism by small structural changes?
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20K03794
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 克政 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60436243)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / プロトンポンプ / QM/MM分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生物は酸素を高効率に使うように進化してきた。現在の生物では、膜貫通蛋白質であるチトクロム酸化酵素が酸素分子を水分子へと還元し、この反応をプロトンポンプと共役させることで、酸素還元反応の自由エネルギーを膜を介したプロトンの濃度勾配による自由エネルギーに変換する。これまでのX線構造解析から、酸素還元に伴う同酵素の構造変化は局所的であることが示唆されている。そこで申請者は、構造変化が局所的であることが酸素還元反応により放出される自由エネルギーをポテンシャルエネルギーに効率的に変換させることを可能にする鍵であると考えた。本研究は、チトクロム酸化酵素が局所的な構造変化でプロトンポンプ反応を達成する構造基盤を解明するとともに、進化の過程でチトクロム酸化酵素が獲得した共役機構がなぜ高効率なのかという疑問に対する答えを探求する。
今年度は、ウシ由来のチトクロム酸化酵素のX線構造に対するQM/MM分子動力学法を用いた解析を目指し、以下のことを行った。(1)酸化型とCO結合型チトクロム酸化酵素に対して生体膜を含めた系を構築し、古典分子動力学計算を行った。(2)分子動力学計算で必要な力場パラメーターをチトクロムP450というヘム蛋白質を用いて構築した。(3)チトクロムP450、特にステロイドホルモン生合成に関わるCYP11B1とCYP11B2について、上記(2)で得られた力場パラメーターを用いて古典分子動力学法による構造解析を行った。その結果、チトクロム酸化酵素に対して応用可能な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、研究遂行の時間が大幅に制約された。また、計算機サーバー1台が故障したため、その対応に時間を要した。来年度は新たな計算機サーバーを導入し、研究の遅れを挽回する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、ウシ由来のチトクロム酸化酵素のX線構造に対するQM/MM分子動力学法を用いた解析を目指し、以下のことを行う予定である。 (1)酸化型と還元型チトクロム酸化酵素に対して生体膜を含めた系を構築し、古典分子動力学計算による解析をさらに続ける。 (2)上記(1)の系について 、QM/MM分子動力学法による解析を始める。特に、同酵素で提案されているH経路に注目した解析を進める予定である。 (3)もう1つのヘム蛋白質であるチトクロムP450についても、野生型と変異型の酵素についてさらに構造・機能相関の解析を進めて、上記(1)と(2)の系の解析に応用できる知見を得る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により、出張などに制限が発生した。さらに、今年度予定していた計算機サーバーの購入を次年度に変更した。
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Research Products
(1 results)