2020 Fiscal Year Research-status Report
Spectroscopy of Yb2 to support ultracold atom studies
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20K03805
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
榎本 勝成 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (50452090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石元 孝佳 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50543435)
馬場 正昭 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (80189729)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子分光 / イッテルビウム / 光会合 / 前期解離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高温のYb(イッテルビウム)蒸気について、Yb原子の399nmの1S0-1P1共鳴線近くに現れる連続励起スペクトルについて研究を行った。Yb金属を500℃近くまで温め、直径1mmの穴から噴出させてYb蒸気のビームを作り、そこに400nm程度のパルスレーザーを照射し、Yb原子の556nmの3P1-1S0共鳴線の蛍光を観測すると、399-402nmあたりに連続励起スペクトルが見られることを発見した。この連続励起スペクトルについて、励起光強度、温度、励起位置などの各種依存性を調べた結果、これは1S0+1P1状態に漸近するYb2分子の0u+状態への光会合遷移であることが分かった。また、蛍光信号の時間分布から、0u+状態のYb2分子は1S0+3Dの状態と前期解離を起こしており、解離した3D状態のYb原子が3P1状態に自然放出で緩和することで、556nmの蛍光が生じていることがわかった。観測された励起スペクトルは、1S0+1S0の解離状態から0u+状態への励起スペクトルの理論計算と概ね一致していた。以前行われた極低温Yb原子を用いた光会合の研究でも、励起線幅の広がりから前期解離が示唆されていたが、どの電子状態が関与しているかは不明であった。本研究によりこの前期解離について、1S0+3D状態に漸近する電子状態が関与していることが分かった。 この他、実験面では一酸化鉛分子の高分解能分光研究を進め、理論面では表面吸着に関する高精度な解析方法の開発を行って同位体効果について調べた。これらを通じて分光技術や量子化学計算技術の改良を行った。 これらの成果について、4件の学会発表を行った。また、論文1本を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
どのような実験条件で、光会合が観測されるほどの高密度なYb蒸気が再現性良く得られるか等の知見が得られ、実験方法が確立した。前期解離のメカニズムの解明などの、Yb2分子についての重要な情報も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Yb2分子の高分解能分光に向けて、実験装置の改良を進める。希ガスにYb蒸気を巻き込ませて噴出させ、蒸気の温度を下げてYb2分子の存在確率を上げるなどの工夫を行う。また、研究分担者・協力者との情報交換を進め、理論(量子化学計算)と実験(高分解能分光)の両面の研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で製品の供給が滞ったり、多くの学会がオンライン開催になるなど、物品費・旅費ともに余りが生じた。次年度の物品費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)