2021 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of the multistability in competing systems of long-range interactions of elastic origin and their novel cooperative phenomena in photoinduced phase transitions
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20K03809
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西野 正理 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主幹研究員 (80391217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 精二 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (10143372)
渡邊 浩 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (50625316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光誘起相転移 / フラストレーション / 電子格子相互作用 / 弾性相互作用 / 長距離相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はスピンクロスオーバー系のコア-シェル複合系のステップを伴う相転移現象の研究に進展があった。単体のスピンクロスオーバー系に関してこれまでに知られている二段階転移では、高温側の転移よりも低温側の転移における秩序変数のヒステリシス幅が大きいことが実験および理論で示されている。これに対して、今回、コア-シェル複合系の二段階転移が起こる時は、高温側の転移に伴うヒステリシス幅のほうが大きくなる可能があることを理論計算により明らかにした。まず、コア-シェルナノコンポジットモデルを構築し、次の2つのケース、すなわち(1)コア系の転移温度(注:無限系の場合に見積もられる転移温度という意味)がシェル系の転移温度よりも低い場合と(2)コア系の転移温度のようが高い場合、についてモンテカルロ法により秩序変数等の温度依存性を調べた。その結果、(1)の場合は、これまで知られている二段階転移同様に、低温側の転移に伴うヒステリシス幅のほうが大きくなるのに対して、(2)の場合は、条件により、高温側のヒステリシス幅が増大しうることを発見した。また、それらのミクロな機構についても考察した。この現象は電子状態と構造(体積)が結合し、弾性相互作用が重要な協力的相互作用となる系に特有な性質である。その他、フェムト秒レーザーによる電子励起状態からの緩和過程とエネルギー散逸の機構についても研究を進め、モデル化およびシミュレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なるスピンクロスオーバー系が組み合わさったコンポジット系の協力現象は新しいトピックとなっている。その現象を統計力学の立場から研究しているが、概要で示したように、複合系においては、これまで研究してきた単体の系で見られる系とは異なる協力現象の特徴が現れ、そこには安定・準安定の異なる機構が存在する。その特徴の一つを理論的に示して弾性相互作用の協力現象における新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、複合系などの安定・準安定性の解析を行う。また、光励起状態からの緩和過程の計算を進め、スピン系および格子系のダイナミクスを調べる。計算手法やシミュレーション手法の開発も進める。
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Causes of Carryover |
今年度は計算機の増設を予定していたが、手持ちの計算機で計画が進んだことで次年度使用することにした。
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[Presentation] 時間角度分解光電子分光によるSmSの光誘起相転移ダイナミクス2022
Author(s)
陳奕同, 中村拓人, 渡邊浩, 鈴木剛, 任千慧, 劉珂成, 鐘益桂, 金井輝人, 板谷治郎, 辛埴, 岡﨑浩三, 井村敬一郎, 鈴木博之, 佐藤憲昭, 木村真一
Organizer
日本物理学会第77回年次大会
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