2023 Fiscal Year Research-status Report
Theory of magneto-thermal transport by quantum clusters
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20K03810
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
森 道康 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30396519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椎八重 航 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (20273253)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フォノンホール効果 / 希土類ガーネット / 中性子散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子系の角運動量変化とフォノンの運動量変化の両方を伴った共鳴散乱振幅がフォノンホール効果の起源である。そのため、偏極非弾性中性子散乱実験により、フォノンと磁気励起(結晶場励起)の磁場依存性の観測を試みた。これまで、磁場と共にエネルギーが増加する結晶場励起を観測しており、この結晶場励起がTbGGにおけるフォノンホール効果の鍵だと考えられる。日本原子力研究開発機構のJRR-3で、偏極非弾性中性子散乱実験を行い、磁気散乱と核散乱の寄与を分離して観測することができた。そして、僅かではあるが、spin-flip channelとnon-spin-flip channelの散乱強度に有意な差を観測した。これは、フォノンと結晶場励起の相互作用によるものだと考えられる。結果をより確実なものとするためには、入射波と散乱波の両方にspin flipを入れた測定が必要である。また、今回の測定では磁場を用いることができなかったため、フォノンホール効果に関係する最低励起の結晶場とフォノンとの相互作用については観測できなかった。 TbGGの研究が、希土類鉄ガーネットTb3Ga5O12(TbIG)の研究へと発展した。TbIGのスピンゼーベック効果の詳細な測定が行われ、他の希土類鉄ガーネットとは異なり、低温でスピンゼーベック効果による電圧が生じないことが分かった。低温で磁場を増やすと電圧が生じ、温度を上げるとスピンゼーベック効果による電圧の符号反転が生じることも報告された。この磁場・温度依存性には、TbIGの結晶場励起が寄与している。非磁性絶縁体のTbGGの結晶場に関する知見が、同相の磁性希土類ガーネットの研究へと発展し、スピン熱電発電の可能性を広げることになると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のとおりに、偏極中性子で磁気散乱と核散乱の寄与を分離して観測することができた。そして、僅かではあるが、spin-flip channelとnon-spin-flip channelの散乱強度に有意な差が観測された。これは、フォノンと結晶場励起の相互作用によるものだと考えられる。また、実際の結晶場励起を取り入れたフォノンの共鳴散乱振幅の解析式を導出した。そして、電子クラスターへの一般化を行った。以上のことからおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
入射波と散乱波の両方にspin flipを入れた測定を行い、フォノンと結晶場励起の結合を実証する。また、磁場を用いた測定を行い、フォノンホール効果に関係する最低励起の結晶場とフォノンとの相互作用を定量的に評価する。また、実際の結晶場励起を取り入れたフォノンの共鳴散乱振幅の解析式を用いて、TbGGのフォノンホール効果の磁場方向依存性を評価して、実験データと比較検討を行う。そして、電子クラスターへ一般化した結果を適用する物質系を検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画においては、ソフトウエア購入と国際会議への参加を予定していたが、国際会議の参加費と旅費が高騰したため、国際会議への参加を取りやめ、ソフトウエア購入を優先したことから次年度使用額が生じた。次年度使用額は、成果発表のための旅費として使用する予定である。
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