2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of huge thermoelectric response in the quantum Hall systems
Project/Area Number |
20K03817
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 熱電効果 / 熱電性能指数 / 2次元電子系 / 量子ホール効果 / コルビノ型試料 / 3オメガ法 / ハーマン法 / 整合性磁気振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱電変換効率の指標である無次元性能指数ZTの評価には熱伝導率の測定が必要となるが、その測定手法の開発を推進した。3倍高調波を利用する3ω法による熱伝導率測定を、前年度のShubnikov-de Haas振動が見られる低磁場領域から、量子ホール効果が観測される高磁場領域へと拡張した。その結果、量子ホール領域ではエッジ状態による熱流出のため、ジュール加熱による温度上昇が少し抑制されることが判明した。 エッジ状態の寄与が無いため非常に大きなZT値を持つことが予想されるコルビノ型2次元電子系の熱電効果測定に適した試料の開発を進めた。外周近くに円状の表面ゲートを配し、このゲートに交流電圧を加えることで非接触で2次元電子系を加熱し、熱起電力の測定を行った。また、バルク試料にて用いられる、電気的応答と熱電的応答の応答時間の差を巧みに利用して電気的な測定のみで直接ZTを求めるハーマン法と呼ばれる手法の(ゲートを持たない通常の)コルビノ型2次元電子系試料への応用を試みた。ZT値の導出には至っていないが、4.2 Kから20 mKの低温域で周波数依存性の多くのデータを取り解析を進めているところである。 理論的には、自己無撞着ボルン近似で得られる絶対零度での電気伝導率をもとにコルビノ型2次元電子系試料のZT値を計算し、多重対数関数を用いた解析的表式を導出した。典型的な2次元電子系試料のパラメータに対し、量子ホール領域で100を超える巨大なZT値が期待出来ることを明らかにした。 量子ホール系に1次元周期的ポテンシャル変調を加えた1次元平面超格子に対して前年度導出した熱起電力テンソルおよび熱伝導率テンソルの解析的表式を用い、これまでに報告されてきた整合性振動の実験結果は、熱電テンソルの対角成分ではなく非対角成分を反映していると解釈を修正する必要があることを明らかにした。
|
Research Products
(5 results)