2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on a superconducting micro particle in a magnetic trap
Project/Area Number |
20K03819
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森脇 喜紀 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90270470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 かおり 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80397166)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超伝導 / 微粒子 / 超伝導転移温度 / 超流動ヘリウム / レーザーアブレーション / 粘性 / レニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
液体ヘリウム中の微粒子トラップ領域にミリ波を導入するための導波管を取り付けたクライオスタットを作成し,導波管をミリ波が通過できること,極低温まで冷却できることを確認した。その上でインジウム, タンタル微粒子を空間捕捉した領域にミリ波を照射して,微粒子の超伝導バンドギャップ間遷移の観測を試みた。しかし,今回は遷移による微粒子の捕捉状態の破れは観測されなかった。導波管とトラップ領域との間のミリ波の結合が不十分,ミリ波の強度が不十分などの理由が考えられる。ミリ波のアンプによる増幅,導波管からホーンなどにより自由空間を伝播させるなどの改良を今後試みる必要がある。 磁気トラップ中に空間捕捉されたインジム,レニウム超伝導微粒子をレーザーを用いてトラップの中心から移動させた後の超流動ヘリウム中での自由運動を, 線形化したナビエ-ストークス方程式を用いたモデルにより解析した。この解析では,標準的な値の超流動ヘリウムの粘性率がえられ,マイクロメートル程度の微粒子の運動が流体力学的方程式で記述できることが理解された。また,レニウム微粒子の運動の振動数が,微粒子全体が超伝導状態であるとするモデルに比べて大幅に小さいことが分かり,レニウムにおいては微粒子においてもバルクと同等の磁場侵入長により説明が付くことが明らかになった。 これまでの研究でレニウム微粒子の超伝導転移温度が4.2K以上であり,バルクの転移温度に比べて大きく上昇している事を示してきた。液体ヘリウムの沸点以上の温度でのレニウム微粒子の超伝導転移温度を測定するため,ヘリウムガス相での微粒子生成・トラップを実験により実現した。ガス圧,温度の制御により,トラップから微粒子が離脱する温度が測定でき,形状などが異なる他の実験報告に比べ,微粒子ではより高い超伝導転移温度であることを実験的に示した。本研究における大きな成果である。
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