2022 Fiscal Year Annual Research Report
Control of topological electronic state of bismuth atomic layer using epitaxial strain
Project/Area Number |
20K03821
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高橋 和敏 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (30332183)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原子層 / 光電子分光 / 放射光 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Ge(001) -2x1再構成表面に成長させたBi(111)膜とGe(001)微傾斜面でのsingle domainの2x1再構成表面上にBi(111)を作製し、電子状態を調べた。いずれの基板においても、3原子層までの薄さでの成長に成功し、広範囲のARPES測定から見出された量子化準位のエネルギー固有値の評価から、層数の均一性が高いことが解った。微傾斜面上のBi(111)膜では、基板ステップに対して平行な方向での表面状態はバルク試料と類似した分散を示しているのに対し、ステップを横切る方向でのバンド分散は高結合エネルギー側にシフトしていることが見出された。LEED測定の結果からは、Bi(111)膜はステップ端を架橋するようにテラス面上からは自立した構造であることが示唆され、基板ステップ位置でのBi膜と基板間の相互作用によってバンド構造変調が引き起こされていると考えられる。また、格子定数を連続的に調整可能な基板としてSiGeバルク単結晶を新たに選択し、その清浄表面の作製法を確立するとともに、その清浄表面はGe原子のみによるダイマーで構成されること、価電子帯上端では組成に応じたスピン軌道分裂があること、3次元ARPES測定によって組成に応じた価電子帯形状を明らかにできることについて論文として発表した。さらに、Ag(111)表面上には低温で成長させた場合に限って大きな面内伸張歪みが導入されたBi(111)単原子層が得られ、そのバンド分散を明らかにすることができた。 以上の成果は、グラフェンを基板として作製した1~3原子層のBi(110)膜での異方的なディラック状態のバンド分散を明らかにした成果とともに、基板からのエピタキシャル歪みを制御しながらビスマス原子層を作製し、その電子状態を制御可能であることを示したものであり、本研究での目的を達成することができた。
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