2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of extreme environmental resistance revealed from structural properties of proteins embedded in sugar glass
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20K03878
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平井 光博 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (00189820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 洋 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (20379598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖 / 水和 / ガラス / 動力学転移 / 極限環境耐性 / 食品保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生物の極限環境耐性や細胞保存・食品保存などで使用される糖のガラス化状態におけるタンパク質の構造特性を明らかにする目的で実施している。研究代表者らは,20%以下の比較的低濃度の糖溶液中では,糖分子のタンパク質の表面から選択的排除により,タンパク質周囲の高密度の水和領域が保存されるため,化学変性,熱変性条件においてもタンパク質の構造安定性が保たれること(変性温度,濃度の上昇),凝集を伴うアミロイド構造転移においては,糖の添加により,変性中間体からNative構造へれホールディングが飽きることなどを既に見出しているため,本研究では,含水率が極めて低い高濃度溶液,ラバー状態,ガラス化状態に含有されたタンパク質の構造を対象として系統的な実験を実施した。その結果,今までに次のような結果を得ている。(1)0.05 ~ 0.65 g/mL の濃度範囲の各種糖溶液(グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、トレハロース)の構造特性を検討した結果,低濃度では第二ビリアル係数は、すべての糖で反発的な分子間相互作用存在するにも関わらず,高濃度ではいずれの糖でも短距離分子間相関が現れることがわかった。特に,トレハロースはより無秩序な配置、すなわちかさばる配置を好むことを見出した。(2)さらに高濃度(低含水率)にすると,濃厚溶液状態からラバー状態を経て無秩序なガラス状態に転移する。この転移はトレハロースが最も顕著である。(3)含水率15%以下の非流動状態(ラバー•ガラス状態)に閉じ込められた各種の球状タンパク質は,よりコンパクトなnative様の構造を保持する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の中心手法は,放射光X線および中性子線を利用した散乱法であるため,試料調製以外は,主に学外の施設を利用している。過去3年間コロナの影響により,実験計画が遅れ気味であるが,1年の延長により十分なデータが得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半に2度の実験を行う予定であり,ガラス状態に閉じ込めたタンパク質の構造安定性に関して補足的なデータは十分に得られる。
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Causes of Carryover |
学外施設の実験計画がコロナの影響により遅延したため。
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