2022 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体の溶解過程におけるアクティブホール現象の機構の解明
Project/Area Number |
20K03884
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
及川 典子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40452817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 界面不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン液体の選択的溶解性を利用した物質分離操作において、イオン液体と水の相分離・混合は重要な問題といえる。申請者らは疎水性イオン液体[C4mim][PF6](密度:1.35g/mL)が水/エタノール混合溶液に溶解するときのふるまいについて研究を行った。 溶解のふるまいは液液相分離の条件によって変化することが知られている。相分離曲線における1相領域(混合領域)は、どの濃度比でも混ざり合う完全相溶と、混合可能な濃度比が限られる部分溶解の2つの領域に分けられ、溶質液体の液滴が溶解するとき、完全相溶領域では拡散的溶解、部分溶解領域では界面を伴う溶解が見られる。部分溶解領域におけるイオン液体の溶解では、溶解過程において界面が保持され、界面厚は時間的にほとんど変化しないことが確かめられている。 これまでの研究から、イオン液体/水/エタノールの3成分系におけるイオン液体の溶解過程で、液滴に振動する穴が形成されるアクティブホール(AH)現象が生じることが明らかになった。本研究ではAHの転移の詳細や機構を解明することを目的とし、空間自由度を制限した準1次元系を用いて基本のダイナミクスをより顕著にする実験を行った。本研究の3成分系は、溶媒のエタノール濃度を制御することにより、系の状態を部分溶解領域から完全相溶領域へ変化させることができる。 エタノール濃度をパラメータとして変化させると、エタノール濃度が高くなるにつれて溶解過程のふるまいが「界面を伴う溶解」「モード発現領域」「アクティブホール」「拡散的な溶解」と変化することが明らかになった。AHは空間周期性を示し、モード発現領域では、液滴の縁が波打ち、細くなった部分がちぎれて複数の液滴に分裂するふるまいが見られた。本研究で得られた結果から、臨界点近傍で生じるAHおよびモード発現は相溶性と界面張力の競合によって生じることが示唆される。
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