2021 Fiscal Year Research-status Report
In-situ high accuracy measurement of hydrogen and helium behavior in plasma facing materials
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20K03904
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 光貴 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (80379693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
治田 充貴 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00711574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核融合プラズマ対向材料 / 水素 / ヘリウム / 高機能電子顕微鏡 / STEM-EELS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ITERのプラズマ対向材料に使用が予定されているタングステンとベリリウムを主要な研究対象とする.高分解能質量分析計を導入したイオン照射装置直結型の透過型電子顕微鏡(島根大学)を用いて,照射や昇温中の微細組織変化と脱離ガスを同時に測定して,①微細組織変化と水素・ヘリウムの放出挙動の相関を明らかにし,さらにモノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡(京都大学化学研究所)を用いて,②材料中の水素やヘリウムの存在状態(密度,捕捉位置,およびそれらの温度依存性)を評価する事を目指している. 研究期間2年目にあたる2021年度は,既存のイオン銃直結型透過型電子顕微鏡に,僅かな質量差を有する重水素とヘリウムを分離測定可能な高分解能質量分析計を導入した.装置の構築にあたり,機械的な振動による電子顕微鏡の像質への影響を低減させるため,新たな除震用台座の設置,電気的ノイズ除去のためのTEMとは独立した電源の確保,また放出ガスの適切な検出感度を確保するための排気速度の最適化など試行錯誤を重ね,直径3mmのディスク状の小さな電子顕微鏡試料(照射面積は直径2mm程度)から放出されるガス成分を十分な検出感度,分解能で測定できるようになった. 本装置の利用により,ヘリウムイオン照射した低放射化フェライト鋼(F82H)からの昇温下におけるガス放出率を微細組織変化と直接対応付けて評価し,ガス放出ピークとヘリウムバブルの成長や消失との関連を明確に示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2020年度)はコロナ禍による質量分析計の納入遅延等により,透過型電子顕微鏡への高分解能質量分析計の導入に遅延が生じていたが,2021年度初旬に装置構築に取り掛かり,絶対定量評価のための校正用の標準リークの取り付けなどを終えることができた. 本装置を利用したデータの取得も順調に進んでおり,国内外での成果報告の機会も確保できている.全体としてはおおむね順調に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,京都大学化学研究所のモノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡,および島根大学で構築した高分解能質量分析計を導入したイオン銃直結透過型電子顕微鏡を用いた材料分析を引き続き行う.実験条件を拡張し,ヘリウム・重水素それぞれの照射エネルギー,照射量,および照射温度の依存性を調べる.さらに重水素・ヘリウムの逐次イオン照射を実施し,実際の核融合炉環境下で予想される複合的条件下でのデータを収集する.特に,試料中の水素同位体挙動は,ヘリウム照射により誘起された欠陥(主にヘリウムバブル)に強く影響を受けるため,重水素保持・放出量を欠陥密度,欠陥サイズの関数として整理する予定である. また,本年度は研究期間の最終年度に当たり,これまでに得られている実験データの整理する.研究成果の発信においては,国内外における学会,研究会において積極的に成果報告を行うとともに,広く認められた学術雑誌に複数の論文を寄稿する事を予定している.
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Causes of Carryover |
僅かな次年度使用額が生じているが,消耗品等の購入,旅費等により,最終年度に使用する予定である.
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Research Products
(12 results)