2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on formation and sustainment mechanism of turbulent structures by using integrated turbulence diagnostic system in torus
Project/Area Number |
20K03905
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
糟谷 直宏 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (20390635)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乱流構造 / 磁場閉じ込め / トーラス / 数値診断 / 統合シミュレーション / プラズマ / 非線形相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおいてプラズマが自発的に形成する乱流構造は粒子・熱輸送を増加・抑制するので、閉じ込め改善のためにはその形成機構の理解が必要である。本研究ではトーラス形状磁化プラズマにおける多空間スケール揺動間の非線形相互作用を数値シミュレーションにより定量的に評価することができるシステムの構築およびそれを用いた解析を通じて、プラズマ乱流におけるメゾおよび巨視的構造形成機構の詳細を解き明かす。本年度も引き続きトーラス統合乱流診断システムの開発を進めた。またトカマクプラズマの3次元乱流シミュレーションを通じて粒子輸送過程の解析を行った。前者に関しては、オブジェクト指向プログラミングを適用したプラズマ3次元揺動場解析プラットフォームの拡張を行った。複雑な3次元形状をしたプラズマからの観測模擬のために、観測視線を考慮したデータ抽出基盤ルーチン群の整備、およびそれらを組み合わせた重イオンビームプローブ模擬をはじめとする複数種類の観測模擬ルーチンの開発を行った。後者に関しては、トカマクプラズマの大域的簡約MHDコードを使用して、周辺近傍に密度こぶ状分布が加えられた時にプラズマ乱流が密度変化に果たす役割の検討を行った。本年度開発した揺動場解析プラットフォームを利用して、小さいながらも中心プラズマ密度上昇に必要な内向き粒子流束が乱流の非線形過程によって生じ得ることを示した。このようにトーラス統合乱流診断システムを実験比較プラットホームとして確立するための基盤整備を進め、それによる物理機構解明につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、複数のグローバルシミュレーションの解析が可能な統合環境を構築して、トロイダル磁場閉じ込めプラズマにおける3次元的な構造形成機構の定量的評価と実験比較を可能とすることにある。本年度はシミュレーションデータ解析統合環境の構築に進展があり、大枠が完成した。そして、そのルーチンを利用してトカマクプラズマにおける3次元シミュレーションデータ解析を行い、粒子輸送過程の評価を行うことができた。また、トカマク実験装置プラズマの性能評価に用いる統合輸送シミュレーションコード開発やプラズマ不安定性の基本特性理解についても進展があった。よって、研究課題に対して適切なアプローチを順調に進めることができているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究ではトーラス形状磁化プラズマにおける多空間スケール揺動間の非線形相互作用を数値シミュレーションにより定量的に評価するためのトーラス統合乱流診断システムの構築を行っている。本年度までの3年間で当初計画の3種類の揺動データフォーマット(コアおよび端部プラズマ両領域を含む3次元メッシュデータ、背景分布発展も含む微視的乱流簡約MHDコードによって得られた3次元揺動スペクトルデータ、磁気面座標系上の実空間非等方メッシュ3次元揺動場データ)に対する解析環境を完成させ、PLATOトカマクの3次元シミュレーションデータに対する解析を実行することができた。さらに当初計画になかった複雑な3次元形状を持つLHDヘリカルプラズマへと解析の対象を拡大している。研究期間を延長し、本年度はこの成果を取りまとめ国際学会で成果発表を行う。これら研究の中で形成される統一的なデータ処理フローは、シミュレーション間および実験との統合的な比較を可能とするので、解析プラットホームとしての確立につながる。
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Causes of Carryover |
本年度もコロナ禍により海外出張が困難であったこと、オンライン開催になったため旅費が必要なかった学会があったことにより、次年度使用額が生じた。学会および投稿論文に関する成果発表費用として次年度に使用する。また、計算機環境の整備費用としても使用する。
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