2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of collapse phenomena in heliotron plasma based on paradigm shift including net current
Project/Area Number |
20K03909
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
市口 勝治 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (90211739)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 磁場閉じ込め核融合 / プラズマ / 電磁流体力学 / 大型ヘリカル装置(LHD) / 圧力駆動型モード / 非線形数値シミュレーション / 構造変化 / 遷移現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においても、引き続き、正味電流を流した場合の大型ヘリカル装置(LHD)プラズマにおける圧力駆動型モードの非線形遷移の研究を行った。正味電流によって回転変換分布がコア領域で平坦となってその値が1に近づくと、共鳴面に局在する交換型モードから、磁気シアが弱い領域に局在する非共鳴モードへの非線形遷移が生じることを昨年度見出した。今回、この遷移についてのダイナミクスをさらに精査した。昨年度の解析では、微小初期乱数の選択によって、遷移した先のモード数が異なることを報告したが、さらに時間発展を追跡することにより、どちらの場合においても、支配的なモード成分が最低次の(m,n)=(1,1)成分となることが得られた。またこの遷移においては、線形成長率の関係から、この(1,1)モードが、新たな線形モードの出現によるものではなく、初期に線形不安定であった(3,3)モードと(2,2)モードの非線形カップリングによって生成されたものであることも判明した。また、この非線形遷移におけるモード数の変化が、インバースカスケードと同様に連続的に変化していくことも得られている。一方、実験では、電磁流体力学的不安定性による崩壊現象は、必ず(1,1)モードによって引き起こされることが報告されている。本解析で得られた遷移後のモード数はこのモード数と一致しているため、この非線形遷移が、実験での崩壊現象を引き起こすメカニズムの一つの候補であると考えられる。さらに、海外共同研究者との議論において、トカマク配位での非線形シミュレーションにおいても、同様の回転変換分布を持つ場合には非共鳴の準交換型モードが見出されることがわかった。両者の比較を行った結果、モード数の低い成分へ遷移していること、またその遷移のためには、平坦な回転変換分布が必要であることにおいて、配位の違いを超えて共通していることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)実験での崩壊現象の観測においては、従来の交換型不安定性の線形理論では理解できない特徴が報告されている。本研究課題の目標は、この未解明の特徴を、新しい非線形的観点に基づいて解明することにある。2021年度までの解析において、非線形遷移という本研究が目指すパラダイムシフトをサポートする新たな知見が、着実に蓄積されてきた。また、LHDだけでなく、配位が異なるトカマクにおいても共通点が見いだせたことは、大きな進歩である。さらに、他のヘリカル系に対する非線形数値シミュレーション研究や、運動論的効果を含めたシミュレーション研究においても、同様の低モード数への非線形遷移が報告されている。このことから、この非線形遷移というメカニズムが当初の予想以上にユニバーサルなものである可能性が大きくなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
崩壊現象に対する実験で得られている特徴の一つとして、崩壊直前に、それまでのプラズマ回転が停止するということが指摘されている。また、磁気島印加実験では、外部から印加した磁気島の幅が大きいほど、回転が停止しやすいことも観測されている。このことから、プラズマの回転や磁気島の存在が崩壊現象に大きく影響を与えていると考えられる。そこで、この状況を解明するために、プラズマ回転や磁気島が存在する平衡での数値シミュレーションを行い、現在得られている非線形遷移に及ぼす影響を調べる。一方、他のLHD磁場配位における平衡においても、同様の非線形遷移が生じるかを調査し、この非線形遷移が生じる条件を精査する。さらに、電気抵抗、粘性、熱伝導係数のような散逸係数への依存性についても解析を進める。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの世界的な蔓延のために、今年度参加を予定していた国際会議が次年度でのオンライン会議へと変更されたため、そのための費用が使用できなくなった。また、海外研究者との研究打ち合わせのための旅費も計上していたが、その経費も使用できなくなった。これらの費用は次年度の研究の拡充に使用する。
|