2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03925
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉永 尚孝 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00192427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 幸司 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (60433679)
梅谷 篤史 日本工業大学, 共通教育学群, 准教授 (20454580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シッフモーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核のシッフモーメントの理論計算は、研究代表者のグループ以外では海外のいくつかの研究グループで行われている。しかしながら、研究代表者らの理論計算以外は平均場近似に基づいて行われており、その信頼性は低い。また、理論計算が行われている原子核の数は非常に少なく、実験を行うべき大きなEDMを持つ可能性のある原子については予測できていない。以上の2点の問題のため、原子核のシッフモーメントの研究には現在大きな進展が見られていない。どの原子核でシッフモーメントが大きくなるかを解明することが、本研究課題の核心をなす学術的「問い」として存在している。この学術的「問い」となる、どの原子核でシッフモーメントが大きくなるかを解明するために、本研究では以下のことを明らかにすることを目的とする。 (研究I) 質量数200-220領域での八重極振動と四重極変形の共存関係の解明、(研究Ⅱ) 質量数200-220領域のシッフモーメント及びEDMの評価、(研究Ⅲ) 鉛208原子核周辺のハイパー核から導かれる原子核構造の理解 このうち、(研究Ⅱ)については、水銀199原子核のシッフモーメントについての結果をINPC2019という国際会議で発表しそのプロシーディングズが出版された。 また、(研究Ⅲ)については、殻模型計算をINPC2019という国際会議で発表し、そのプロシーディングズが出版された。(研究I)については、あまり進展が見られなかったが、200領域で論文が受理されており、研究成果が出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、シッフモーメント及びEDMの理論的枠組みを整備すると共に,殻模型と核子対殻模型の二つの計算プログラムの拡張を行うことを計画していた。この領域の水銀199原子核に対してPTを破る相互作用により生じるシッフモーメントの概略的な計算を行うことができた。ただ、コロナ禍ですべての国際会議が中止、または延期になり、研究計画が中断したりした。
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Strategy for Future Research Activity |
(研究I) 質量数200-220領域での八重極振動と四重極変形の共存関係の解明、については一部論文にまとめ、掲載予定である。今後は質量数を140領域に移して研究していく。 (研究Ⅱ) 質量数200-220領域のシッフモーメント及びEDMの評価、については、今後、計算の公式化を行う。 (研究Ⅲ) 鉛208原子核周辺のハイパー核から導かれる原子核構造の理解、については現在修士の学生と研究を始めており、その成果を物理学会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
国内会議、および国際会議に出席予定であったが、コロナのため、会議自体が開催されなかった。そのため旅費の使用額がゼロになった。今年度は昨年度購入した計算機のメモリを増設し、大規模な計算ができるようにするために使用する。
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