2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of Neutron Stars and Elucidation of origin of hadron masses using chiral effective models
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20K03927
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 正康 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40311716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パリティ2重項模型 / カイラル対称性 / 核物質 / 中性子星 / 状態方程式 / ヘビーハドロン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ストレンジクォークを含むメソン効果を取り入れた高密度核物質の解析:2020年度に確立したパリティ2重項模型とNJL型クォーク模型の内挿模型(PDM-NJLクロスオーバー模型)において、パリティ2重項にストレンジクォークを含むメソン効果を含めた解析を実施した。そして、その効果が状態方程式を柔らかくすることを明らかにした。[Phys. Rev. C 106, no.6, 065205 (2022)] (2) PDM-NJLクロスオーバー模型のまとめ:2020年度から実施してきた内挿模型に基づく解析をレビュー論文としてまとめた。[Symmetry 2023, 15(3), 745.] (3) a0中間子効果の解析: 前年度の解析を継続し、a0中間子効果により状態方程式が硬くなることを明らかにした。結果をまとめた論文を執筆中である。 (4) スカラー中間子の質量の解析:NJL型クォーク模型に補正を加えることにより、a0中間子とK0中間子の質量を解析した。補正項が大きい場合には実験結果を再現できることを明らかにした。[PTEP, 2023, 033D01] (5)ヘビーバリオンのカイラル有効模型による解析:ヘビークォークを含むハドロンのうち、正パリティの基底状態と励起状態の両方を含むカイラル有効模型を構成し、その崩壊幅を解析した。そして、励起状態を5クォーク状態とすると、その崩壊幅が非常に小さくなることを明らかにした。結果をまとめた論文を執筆中である。;(6)テトラクォークのハドロン分子模型による解析: 前年度に引き続いて、テトラクォークを中間子2個の束縛状態とする模型の解析を実施した。; (7)テトラクォークのカイラル有効模型による解析:テトラクォークを記述するカイラル有効模型の構築とそれを用いた解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績概要(1)に記載したように、パリティ2重項模型とNJL型クォーク模型の内挿手法は、PDM-NJLクロスオーバー模型として確立し、レビュー論文を出版した。このレビュー論文には、内挿領域でのクォーク凝縮の密度依存性の決定手法、ストレンジクォークを含むメソン効果の解析も含まれている。よって、申請した研究計画の根幹部分は完成したと考えている。 a0中間子効果の研究に関しては、解析はほぼ終了しており、そのまとめの論文を執筆中である。 PDM-NJLクロスオーバー模型にストレンジクォークを含むバリオン(ハイペロン)を含める解析が進んでいる。 また、2020年度に[Phys. Rev. D 102, 114004 (2020)]に出版した、ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を、励起状態バリオンを含むように拡張した解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で研究が計画通りに進まない部分があったため、研究計画書での計画よりも1年遅れ、2023年度が最終年度となる。2023年度中に下記の3項目を論文として出版することを計画している。 (1) PDM-NJLクロスオーバー模型へのa0中間子効果の解析 (2) PDM-NJLクロスオーバー模型にハイペロンを含めた模型の構築 (3) ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を用いた、励起状態バリオンの質量と崩壊幅の解析
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Causes of Carryover |
2020年度・2021年度に引き続いて2022年度もコロナ禍のため、当初予定してよりも出張の回数が減るとともに、また、研究者招聘も計画通りに進まなかった。そのために次年度使用額が生じた。2023年度は出張が可能になるため、本研究に協力している博士課程大学院生も含めた研究交流を計画している。
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