2023 Fiscal Year Research-status Report
Classification of black hole spacetimes toward verification of no hair conjecture
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20K03929
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
野澤 真人 大阪工業大学, 工学部, 講師 (60547321)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブラックホール / 漸近的AdS |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は漸近AdS時空の厳密解の構成と探査について,2つの方向からの進展があった.
(1) 静的な漸近AdS時空でファントムスカラー場を考えると,動径方向にのみ依存する静的な解は3つに分類されるが,これらにはそれぞれ2種類のブランチが存在することが,我々の先行研究で知られていたが,その理由は明らかでなかった.そこで新たにこれらの解を加速させたC計量を構築し,C計量特有のフリップ対称性により,静的極限により2つのブランチが存在することを明示的に示した.この解はワームホール時空を加速させた初めての物理的計量である.特にワームホールの加速に円錐状特異点は必ずしも必要ないことを明らかにした.またPenrose図の分類を行い大域構造を議論した.
(2) C計量を含むPetrovII型のダイナミカルな解として,Robinson-Trautman(RT)計量がある.我々はN=2超重量理論においてスカラー場を含む場合の,新たなRT解 (I-a型, I-b型,II型)を構築した.I-a型の基礎方程式はRicci flowと呼ばれる幾何学的フロー方程式の可積分条件となっていることを示した.さらにI-b型の基礎方程式はPerelmanがThurston予想を解決するために用いたRicci flow方程式のペアと完全に一致することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,AdS時空における無毛仮説の検証を厳密解を通して行った.漸近AdS時空では代数的な解の構成法が適応できず,このような厳密解が得られること自体が貴重であり,これを通して大域構造などの重要な性質を完全分類することができた.また,アインシュタイン方程式とRicciフローの関係は予想外の結果であり,今後進展が期待されるが,そのぶん数学のフォローには時間がかかっている.そのため「おおむね」順調だと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
スカラー場を含むRobinson-Trautman時空を帯電させた時空については,現在すでに議論を進めている.またこれまで漸近平坦/AdS時空にかかわらず,正則な回転ワームホール時空の厳密解の構成には成功していない,そこで軸対称定常なワームホールのスカラー場に適切なansatzをおくことにより,厳密解の構成と大域構造の分類に着手する.また大域ワームホール時空の唯一性の証明で仮定されていたスカラーチャージの条件について再考し,より有効な証明法について議論する.
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Causes of Carryover |
業務の都合で当初予定していた外国出張がいまだできていない.その一方で,専門知識の提供のための研究セミナーを開催したため,謝礼金の支出が生じた.その収支差額で次年度使用額が生じた.
2024年度は最終年度であるので,これまでの成果を発表するための出張を多く予定する.
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