2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring new physics in string theory from numerical analysis in open string field theory
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20K03933
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
岸本 功 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 准教授 (60399433)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 開弦の場の理論 / レベル切断近似 / 数値解周りの理論 / 質量スペクトラム / a-ゲージ |
Outline of Annual Research Achievements |
開弦の場の理論において文献[Giusto-Imbimbo(2003),Imbimbo(2006)]でSiegelゲージのタキオン真空解周りの理論のスペクトラムが調べられていたことに着目し、この手法に基づいて他の数値解に対しても同様の数値計算を実行できるように、前年度から着手していたMathematicaプログラム開発を行った。特に、ツイスト偶SU(1,1)シングレットでユニバーサルな数値解周りの理論を、スカラー状態とベクトル状態について調べるプログラムを完成させた。これを用いて、まずは、数値的タキオン真空解についてImbimboらの結果をレベル10まで全てのゴースト数セクターで再現できることを確認した。次に、前年度まで得られていた[Kudrna-Schnabl(2018)]の数値的「二重ブレーン」解のデータを用いて、この解周りの理論の運動項を切断レベル10まで調べた。その結果、運動項行列のゼロ固有値の存在が曖昧で、二重ブレーンに対応する質量スペクトラムは得られず、物理的解釈ははっきりとしなかった。さらに、別の数値解として、文献[岸本-高橋(2009)]で調べた「一重ブレーン」解のデータを用いて、この解周りの理論の運動項を切断レベル10まで調べた。その結果、タキオン状態、ゼロ質量状態の質量スペクトラムがゴースト数1の部分に得られた。このことは、単位弦場に基づくタキオン真空解周りの理論の数値解としてエネルギーとゲージ不変オーバーラップを評価した従来の結果と合わせて、この数値解がDブレーン1枚に対応しているという物理的解釈と整合する。以上の結果について、日本物理学会2023年春季大会の一般講演で報告した。 また、主に前年度に遂行した数値計算の補足として、開弦の場の理論におけるツイスト偶のユニバーサルなa-ゲージ解の低レベルでの振る舞いについて、紀要にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から開発してきた数値解周りの理論の運動項の質量スペクトラムを調べるMathematicaプログラムは、実行時予想以上に時間がかかり、かつ、大量のメモリを必要としたため、数値計算結果を出すのに(文献[Imbimbo(2006)]の計算と同じ切断レベル10まででさえ)全体として多くの時間がかかった。したがって、次の切断レベル12のデータを得るには、計算法に大幅な改良を加えるか、C++プログラムへの翻訳を行うなどしなければ困難であることが判明したから。 当初本研究課題は2022年度で終了の計画だったが、2023年度までに延長して数値解周りの理論のスペクトラム等に関する研究結果を論文にまとめることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に得た開弦の場の理論における数値解周りの理論の質量スペクトラムについての結果を論文にまとめる。 切断レベル12以上の数値計算を目指して、Mathematicaプログラムの改良、および、C++プログラムへの翻訳を行い、Siegelゲージの「ゴーストブレーン」解等、他の数値解の周りの理論についても高レベルまで計算を遂行し、各数値解の物理的解釈を考察する。 a-ゲージの数値解についても同様の計算を実行し、数値解周りの理論のスペクトラムのゲージ条件依存性について調べる。 計算の各段階において、本科研費で購入した計算機を最大限活用するとともに、アカウントを継続所持している京都大学基礎物理学研究所の計算機も活用する。
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Causes of Carryover |
前年度と同様に、2022年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で当初現地参加を予定していた日本物理学会春季大会がオンライン開催のみとなったため、その旅費が生じなかったから。 本研究課題の当初の計画では2022年度で最終年度だったが、研究を2023年度までに延長したことにより、次年度使用額を2023年度の学会や研究会に現地参加するための旅費等として使用する。
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