2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of Dark Energy and Neutrino mass by near future large scale observations
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20K03937
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
二間瀬 敏史 京都産業大学, 理学部, 教授 (20209141)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハッブル定数 / 宇宙の非一様性 / アインシュタイン方程式 / 弱い重力レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、宇宙論では宇宙の膨張速度を表すハッブル定数が近傍の観測と宇宙マイクロ波背景放射による地平線スケールでの値が観測誤差以上に違っていることが問題となっている。この問題はハッブル定数問題と呼ばれ、宇宙論の大前提である時空の一様等方性に大きな疑問を投げかけていて深刻な問題となっている。この問題に対してさまざまな提案がなされているが、我々はその違いが現実のものであるとみなし、その原因を宇宙における物質分布の非一様性とする立場をとっている。これには宇宙の物質密度の多くを占める小質量星の分布の非一様性が観測されていることから十分な証拠がある。この非一様性と宇宙論的なパラメータを結びつけるためにアインシュタイン方程式の局所平均と地平線スケールの平均操作からそれぞれの領域におけるフリードマン宇宙を導いた。その結果、局所的なハッブル定数と地平線スケールでのハッブル定数の間の関係が導かれ、我々の近傍宇宙での平均密度が地平線スケールの平均密度よりも50%程度低ければ、観測されているハッブル定数の違いが再現できることを示すことができた。さらにこの平均操作が特定の座標系によらず、一般的な座標系においても意味を持ち同じ結果が得られることを、一般相対性理論のゲージ不変摂動論を用いて証明することができた。 また弱い重力レンズ効果における背景銀河形状の測定において、形状の高次モーメント測定の新たな方法を開発した。この方法を現在、実際の観測データに適用できるように雑音の補正を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙の非一世末位によるハッブル定数問題の解決はすでに論文として受理され出版されている。その結果のゲージ依存性についての論文は投稿中である。また弱い重力レンズの高次効果の新たな新たな解析法については、定式化は終わり、現在実データ適用に向けて研究中で羅うことからおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙の非一様とハッブル定数問題に対しては、近い将来完成する30メートルクラスの超大望遠鏡によるクェーサーのスペクトル観測や重力波などによる観測方法を提案していく。 弱い重力レンズ効果については実際の観測データ中に存在する様々な雑音の補正を開発し、滑る望遠鏡による銀河サーベイデータへの適用を目指していく。
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナの影響で外国出張の予定がキャンセルされたため次年度使用額が発生した。 今年度は主に国内出張でハッブル定数問題に詳しい観測家、および非一様時空に詳しい理論家との研究打ち合わせを通じて、我々の結果の観測可能性を研究する。
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Research Products
(4 results)