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2023 Fiscal Year Research-status Report

超一様分布列を用いた極めて高速に収束しかつ高精度なファインマン積分の計算法

Research Project

Project/Area Number 20K03941
Research InstitutionHigh Energy Accelerator Research Organization

Principal Investigator

湯浅 富久子  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (00203943)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 台坂 博  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80399295)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords超一様分布列 / ファインマン積分 / 高次元数値積分 / 並列化手法
Outline of Annual Research Achievements

令和5年度は、紫外(UV)発散のある3ループセルフエネルギー型ダイアグラムのファインマン積分の数値計算に集中した。我々は紫外発散に対し次元正則化の手法を採用しているが、発散の度合いが強くなるとファインマン積分は困難性を増してくる。精度よく結果を得るためには、困難性が生ずる機構を理解しその度合いを弱める方法を模索する必要がある。令和5年度前半はそれに集中した。様々な検討の結果、積分領域をセクタに分解し、各セクタでUV特異性を特定し、差し引き法により困難性を低減できることがわかった。このためこれまでのソフトウェア群を見直し、積分領域のセクタ分解・UV特異性の分離・セクタ毎の数値積分の3パートからなるよう計算法を再構築した。ファインマン積分に現れる発散は紫外発散に限らない。外線の運動量を変化させていくと閾値近傍で被積分関数に特異性が現れ数値積分は不安定になる。これには被積分関数の分母が0にならないようにパラメータを挿入し、その後外挿法によりパラメータが0となる極限を求める従来の方法を維持する。新たに加えた3パートと従来の方法を組み合わせ、強い紫外発散を有するファインマン積分であっても、また、閾を超えるエネルギー領域であってもファインマン積分を遂行する数値計算法を開発できた。得られた成果は、共同研究者の米国ウェスタンミシガン大学のElise de Doncker氏が、2023年8月に開催された国際会議CCP2023と2024年3月に開催された国際会議ACAT2024で口頭発表した。数値積分法では超一様分布列を用いるQMC積分(Rank-1 Lattice ruleを使用)が、計算時間の短縮に高い性能を発揮した。特にアクセラレータボードを用いた場合には計算時間が格段に短縮された。令和5年度後半にはNvidia社製GPUボード用のCUDAコードを開発し我々の計算法の動作環境を拡げた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

紫外発散の度合いが高いファインマン積分へ対応するため、それが有する困難性の理解に時間を要した。また、ソフトウェア群の構造上の大きな変更により複雑化したため、コード開発とその検証にも時間がかかった。このため、再構築したソフトウェア群の検証対象が3ループで内線数が6(積分の次元数は5)までのダイアグラムにとどまった。

Strategy for Future Research Activity

令和5年度は、紫外発散の度合いの強いファインマンダイアグラムを対象に、数値計算法の再構築を行った。
再構築では構造上の大幅な見直しをおこなったためそこに大きな労力がかかった。このため、検証は3ループダイアグラムで内線の数が6(積分の次元数は5)までとなった。今後はよりループ数の多いダイアグラムに対して再構築した計算法を適用し必要な改修を行う。ループ数が増えれば、積分の次元数も一般に増加する。高い次元数であっても多次元数値積分が現実的な時間内に終了するためには、QMC積分とGPUなどのアクセラレータを用いることが必須であることがこれまでの研究でわかっている。このため、令和5年度に開発したNvidia社製GPUボード用のQMC多次元積分のCUDAコードの機能強化と他の計算機アーキテクチャへの適用も進める。

Causes of Carryover

令和5年度は、紫外発散の度合いの強いファインマンダイアグラムに対応するために数値計算法を再構築した。構造上の大幅な見直しが必要となったため時間を要し、検証対象が3ループセルフエネルギー型で内線数が6(5次元積分)までのダイアグラムにとどまった。5次元積分の場合は、既存の計算機環境で積分を実施しても現実的な時間で終了することが可能であったため、あらたな計算機アーキテクチャへの適用は次年度に行うことにした。
今後4ループ以上を対象にするので、積分の次元数は増えていき計算時間はさらに長くなってくる。現有のアクセラレータボードを増強すれば対応できるが、我々は技術的な方法で対応していく計画である。具体的には、既存の計算機環境に加え別の安価な計算機アーキテクチャでも動作できるようにコードを改修し我々の数値計算法の適用範囲を拡大していく。このため、令和6年度にはArm系のマルチコアを有する安価な小規模計算機を1台購入する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Int'l Joint Research (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Western Michigan University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Western Michigan University

URL: 

Published: 2024-12-25  

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