2022 Fiscal Year Research-status Report
Magnetotransport phenomena in QCD matter with heavy-quark impurities
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20K03948
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 恒一 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (10730252)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近藤効果 / カイラル対称性 / 強磁場 / QCD相図 / 量子相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子色力学で記述される物質の相構造の解明は素粒子・原子核分野の大きな課題の一つであり、理論・実験、及び格子QCDによる第一原理数値シミュレーションによる取り組みが行われている。これらの相構造は、通常は温度とバリオン密度を軸とした「QCD相図」に集約されている。強磁場という新たな軸の導入と、重クォークを不純物として考慮した場合の2点から、QCD相図研究に新たな要素を導入し、これらの状況下で生じる量子相転移点を見出した。知る限りにおいて、QCD相図において量子相転移点が提案されたのは初めての成果である。 重クォークを考慮しない場合、QCD真空を特徴づけるカイラル対称性の破れは、強磁場下で増幅されることが知られている。これは磁場触媒効果(magnetic catalysis)と呼ばれ、最近10年の間に格子QCDシミュレーションによる研究が進められてきた。QCDが本来持つ強結合性と磁場触媒効果が引き起こす量子多体効果による強結合性の協奏による興味深い現象が報告されてきた。一方、強磁場下でさらに不純物が存在する状況では、近藤効果として知られる別の量子多体効果が生じる。元来、近藤効果はフェルミ面近傍の励起によって生じる有限密度効果であるが、磁場によって誘導される磁場近藤効果が新たに提案されていた。 今回の成果では、磁場触媒効果によってカイラル対称性の破れが増幅される効果と、近藤効果によって抑制される効果の競合がある事に注目した。ゼロ温度で磁場の強度を変えるにしたがって、カイラル対称性の破れが支配的な真空から、近藤効果が支配的な真空への転移が生じる事、つまり量子相転移点が存在すること、を有効模型による解析の範囲で示した。この結果は会議録の形で出版されたと共に、論文が現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強磁場中で起こる磁場触媒効果と近藤効果の競合という課題のひとつを論文にまとめることができた。量子相転移の提案という成果が出たことで、数値シミュレーションや実験での検証につながる可能性が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
QCD相図に対して新たな理論的提案ができたため、数値シミュレーションや実験での検証につなげたい。特に、磁場下での格子QCDシミュレーションはこの10年で盛んに行われたため、その発展として磁場近藤効果が検証できるような物理量の提案を目指したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国際会議が延期されたり、オンライン開催になる等の理由で、旅費の支出が予定より大幅に下回ったために残額が出ました。主に次年度に会議、或いは研究打ち合わせのための旅費等として利用する予定です。
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Research Products
(5 results)