2021 Fiscal Year Research-status Report
Do matrix model and AdS/CFT correctly capture quantum properties of membranes in M-theory?
Project/Area Number |
20K03955
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 英彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (10625221)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | AdS/CFT対応 / M理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ABJM理論はM理論と双対なAdS/CFT対応を与える興味深い3次元場の理論である。既にM理論で 重要な膜の自由度がABJM理論での磁気モノポール的な自由度を生みだすモノポール演算子と 対応することを示している。今年度は前年度に引き続きこのような膜自由度に対応する「重い演算子」と通常の重力場に対応する「軽い演算子」を含む、「重い演算子」2つと「軽い演算子」1つからなる三点関数、いわゆるheavy-heavy-light相関関数」、を中心に調べた。特に「軽い演算子」がいわゆるBPS演算子の場合は、M理論側の計算を行列模型によらずとも、計算できることを見出し、実際に計算を実行した。結果は超幾何級数による非自明ながらも簡明な表式となることを見出した。この計算は膜のいわゆるDirac-Nambu-Goto型の作用に基くものである。また、同様な計算が、膜の「双対」であるM理論のもう一つの重要な自由度、M5ブレーン、についても可能であることを見出し、その計算を実行している。ゲージ理論側の計算は、2通りの方法があり、双方を追及している。一つは全ての演算子がBPSな場合につかえる局所化の方法である。もう一つはBPS条件を用いずに大角運動量近似のみによる方法である。前者は大角運動量近似に依存しない厳密な結果が得られる一方でBPSに限るという短所があり、後者は大角運動量近似に依存する一方でBPSに限らないという長所があり、相補的になっている。またM理論の膜のもつ異方的スケール対称性と同様な対称性を持つ厳密に解ける理論を見出しその性質を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3点関数についての重力側の表式が具体的に得られた。これは解析的な計算についての大きな進展であり計画は概ね順調に進展していると言える。またM理論の膜の持つ異方的スケール不変性についての理解の進展がある点、M5ブレーンについての3点関数についての重要な結果を得る見通しがたった点は、当初の予定を越えた結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は重力側の計算をさらにすすめDirac-Nambu-Goto型の作用でなく、よりM理論の深い性質(例えば膜が重なっている場合の自由度のenhancement)を捉えているはずである行列模型に基づく計算を行ない、両者を比較する。またゲージ理論側の計算を完遂して、行列模型, AdS/CFT対応の妥当性を検証する。更に全ての演算子が「重い」場合について調べる。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により海外、国内への対面研究会参加や、共同研究のための滞在を中止せざるを得なかった。また、解析計算が予想よりも大幅に進み、当初予定していた数値計算用のワークステーションが不要となった。
|