2022 Fiscal Year Annual Research Report
Do matrix model and AdS/CFT correctly capture quantum properties of membranes in M-theory?
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20K03955
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 英彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (10625221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AdS/CFT対応 / 行列模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ABJM理論はM理論と双対なAdS/CFT対応を与える興味深い3次元場の理論である。既にM理論で重要な膜の自由度がABJM理論での磁気モノポール的な自由度を生みだすモノポール演算子と対応することを示している。まずこのような膜自由度に対応する「重い演算子」と通常の重力場に対応する「軽い演算子」を含む、「重い演算子」2つと「軽い演算子」1つからなる三点関数、 いわゆる「heavy-heavy-light相関関数」を調べた。特に「軽い演算子」がいわゆるBPS演算子の場合は、実際に計算を実行した。結果は超幾何級数による非自明ながらも簡明な表式となる。この計算は膜のいわゆるDirac-Nambu-Goto型の作用に基く。また、M理論の重要な自由度M5ブレーン、についても同様の計算が可能であることを見出した。ゲージ理論側の計算は、2つの相補的方法がある。全ての演算子がBPSな場合につかえる局所化の方法と大角運動量近似のみによる方法である。
またM理論の膜自由度を記述する世界面上の理論について、今まで着目されていなかった一種のスケール変換についての対称性があることを見出した。このスケール不変性は膜の拡がりの有無に応じて自発的に破れるのだが,同様の異方的スケール対称性及びその破れを示す厳密に解ける理論を見出しその性質を明らかにした。
本年度は特に膜上の場の理論が境界を持つ場合を中心に研究した。この場合はいわゆる量子アノマリーが理論を調べる鍵となる。量子アノマリーはある演算子の複素行列式の回転数と関係するが、その回転数よりも詳細な情報を持つ固有値スペクトルの集団的回転数の概念を見出した。現在論文執筆中である。
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