2023 Fiscal Year Annual Research Report
非線形拡散過程を考慮した銀河宇宙線太陽変調モデルの構築とその汎用化
Project/Area Number |
20K03956
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
三宅 晶子 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (00613027)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河宇宙線 / 太陽風 / 磁気乱流 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽風速度の緯度依存性と非線形拡散過程を考慮した太陽圏内銀河宇宙線伝播モデルの開発において、AMS-02やCALETによる最新の観測結果との比較検討と、本太陽変調モデルの検証に有用なCALETによる低エネルギー粒子観測のデータ解析が進んだ。AMS-02の観測した2019年10月までの陽子強度および2021年11月までの電子強度、CALETの観測した2022年4月までの陽子・電子計数率との比較の結果、本太陽変調モデルは太陽活動減退期における宇宙線強度変動を概ね再現できるが、太陽活動増進期は観測よりも早いペースで強度低下し、ヒステリシス構造の再現性が低くなることが明らかになった。この結果はこれまで予想されていた太陽活動減退期・増進期で異なるカレントシート構造の違いのみでは太陽変調22年周期変動のヒステリシス構造を説明できないことを意味している。一方でSolar Orbiterにより内部太陽圏の乱流磁場観測が進み、乱流磁場成分の動径方向依存性に異方性があることが明らかになってきた。この効果も含めて現行の太陽変調モデルにはまだ改良の余地があり、今後も引き続きモデルの改良を継続し、太陽活動全期間の観測が再現可能な太陽変調モデルの構築を進める。なお、太陽活動減退期にあたる2015年10月から2021年5月までのCALETによる低エネルギー粒子観測結果はPhysical Review Lettersにて成果報告した。ドリフト効果を考慮した太陽変調モデルによる再現にも成功し、ドリフト効果が太陽変調現象に大きな役割を果たしていることを示す定量的な証拠が得られた。 その他、宇宙線エネルギースペクトルの汎用関数パラメータを公開するためのデモサイトの制作が完了した。汎用関数パラメータリストは、本研究成果を論文として報告し次第、データ公開サイトにて公開する。
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