2023 Fiscal Year Research-status Report
元素合成およびX線・γ観測から迫る重力崩壊型超新星の爆発機構の解明
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20K03957
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
藤本 信一郎 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系CIグループ, 教授 (10342586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 元素合成 / 重力崩壊型超新星爆発 / 核ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非対称ニュートリノ放射を伴う重力崩壊型超新星爆発における元素合成を、様々な質量をもつ親星に対して系統的に調査し、その結果を近い将来の超新星残骸のX線・γ線観測と比較することによって、理論的に示唆された非対称ニュートリノ放射の有無を明らかにし、ニュートリノ非球対称度を推定することを目的としている。 令和5年度には以下の研究を実施した;(1) 3D超新星爆発計算を実施した。併せて計算中に判明した3D超新星爆発計算codeの不備を修正した。 (2) 令和6年度実施予定の複数モデルに対する3D超新星爆発および元素合成計算用として3D超新星爆発計算用の数値シミュレーション用ワークステーションを複数台購入し、計算のための環境構築およびテスト計算を行った。 (3) XRISM Guest Scientistとして採択されたXRISM衛星の重力崩壊型超新星残骸チームの一員として、最初期観測で得られたデータ解析結果とモデルを比較するために2D超新星爆発および元素合成計算モデルの結果を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度には、(1) 超新星爆発計算中に判明した3D超新星爆発計算codeの不備の修正に時間を要したこと、(2) 校務が多忙になったことにより、令和5年度に予定していた研究(の一部)を遂行できなかった。このため「遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には、「当初計画」の最終年度実施予定の内容を実施する。まずは主に令和5年度までに行った重力崩壊型超新星爆発の際に放出される核γ線・電子捕獲X線に関する研究を論文としてまとめる。次に3D超新星爆発・元素合成計算を行う。特に個々の超新星残骸との比較を見据えた少数の親星・3つ程度のニュートリノ非球対称度に対して、計算を行い、研究成果を学会・研究会にて発表する。 最後に、令和5年度までに行った非球対称ニュートリノ放射および速いニュートリノ振動を考慮した重力崩壊型超新星の多次元爆発・元素合成計算から得られたNi/Fe・Zn/Fe比の理論値に対して、XRISM衛星を用いた若くて明るい超新星残骸におけるNi/Fe・Zn/Fe比の観測可能性を定量的に評価し、XRISM衛星での重力崩壊型超新星残骸の最初期観測結果と比較する。さらにその結果を踏まえて、重力崩壊型超新星残骸におけるNi/Fe・Zn/Fe比のXRISM衛星による公募観測提案を検討する。 併せて、まずは球対称ニュートリノ放射の場合に、次に非球対称ニュートリノ放射の場合について、様々な質量の親星・少数のニュートリノ非球対称度に対して3D超新星爆発・元素合成計算を行い、2D計算と比較し、元素合成に対する軸対称性の影響を定性的・定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は3D超新星爆発計算用の数値シミュレーション用ワークステーションを複数台購入し、令和6年度実施予定の複数モデルに対する3D超新星爆発および元素合成計算の準備を行った。 実施予定の爆発および元素合成計算結果のデータ保存用のハードディスクドライブの購入する。併せて研究成果を論文・学会・研究会などで発表するため費用として次年度使用額が生じた。
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