2020 Fiscal Year Research-status Report
巡回ライプニッツ則に基づく超対称格子場の理論の実現
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20K03966
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 光裕 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80185876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超対称性 / 格子場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
標準模型を超える素粒子理論の構築に置いて重要な役割を果たし、また重力を含む量子論の最有力候補である超弦理論においても要となる原理である「超対称性」を詳しく調べることは素粒子物理学に於いて長らく中心的テーマであるが、特に非摂動的な性質を解明することは、極めて重要である。その最も自然なアプローチは、QCDで成功をおさめた、格子場の理論としての定式化であるが、超対称性に対しては単純な方法では実現できないことが示されている。それを回避して必要なレベルの格子超対称性を実現する方法が、我々の提唱している巡回ライプニッツ則を用いる方法であり、1次元の場合には成功をおさめ、他の方法では実現できなかった様々な格子超対称性の性質の解明に成功した。 当該年度においては、2次元以上の場合に巡回ライプニッツ則に基づく格子上の超対称性に実現について、様々な方法を試みた。1次元の場合に開発した正則関数を用いる方法で、ある種の仮定の下では相互作用項が単純な連続極限ではゼロになるという、所謂No-Go定理に行き着いた。その仮定を回避するにはどうすれば良いか、あるいは非自明な連続極限が存在するかどうか現在分析している。本研究の中心的課題については、コロナ禍のため進展がやや遅れているが、関連研究において、特にde Sitter時空上の弦の古典解について進展がありJHEPに論文掲載決定済みである。また弦ジャンクションの量子化についても進展があり、現在まとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、思うように共同研究者との議論や学会等での情報収集ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心的な部分においては、上記のようにやや遅れているが、関連する研究において成果が上がっているので、そこからのフィードバックを活用したい。また、2次元の場合の巡回ライプニッツ則の実現について、相互作用項の自明性問題に対し、その仮定回避の方法や非自明な連続極限の取り方について研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
主にコロナ禍のため、研究計画や支出計画自体に変更が生じたために次年度使用に変更した。今後オンラインでの議論やそのための機材購入などの環境整備に利用予定である。
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