2021 Fiscal Year Research-status Report
精密宇宙論時代における初期揺らぎの統計的性質の徹底解明と超高エネルギー物理の検証
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20K03968
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 修一郎 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 助教 (80529024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフレーション / 原始ブラックホール / 非ガウス性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究課題に関連する論文を学術誌に6本投稿、うち3本は受理され出版済み、3本は査読中である。また、国際学会で3件、国内学会でも1件の招待講演を行った。いずれもオンラインでの講演である。出版した論文では、まず「超高エネルギー物理の検証」という観点から、超高エネルギー状態を記述する理論が共形対称性を持っている場合に考えられるインフレーション模型に着目し、特に重力理論が計量アフィン幾何に基づく場合には理論が高階微分項を持っていたとしても共形対称性と無矛盾な模型を構成可能であることを示した。その上で、宇宙マイクロ波背景輻射観測との整合性を議論し、さらには将来の重力波干渉計による模型の検証可能性についても議論した。また、「精密宇宙論時代における初期揺らぎの統計的性質の解明」という点に関して、将来の大規模銀河サーベイを用いた、スケールに依存する非ガウス性への観測的制限の評価、原始ブラックホール形成における初期揺らぎの非ガウス性の影響の精査を行なった。 研究費に関して、計上していた学会参加などにかかる旅費がコロナの影響により使用できなかったため、2022年度に繰り越す形をとった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記したように、コロナ禍にも関わらず課題に沿った研究成果を残すことができた。2022年度は、コロナによる規制が緩和されることが期待され、これらの研究成果を海外、国内の研究会に参加し、発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究成果の一つである、原始ブラックホール形成過程における非ガウス性の影響に関連して、原始ブラックホール形成に付随して生成すると考えられる背景重力波への非ガウス性の影響の精査を行う。また、超高エネルギー物理の検証という課題に関しては、インフレーション模型への観測的制限をもとに多成分スカラー場インフレーション模型の精査を行い、具体的な素粒子模型との整合性に関する議論を行う。また、積極的に海外、国内研究会に参加し、研究成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、当初予定していた研究会参加などに関する旅費の使用ができなかったため。2022年度は、コロナによる制限の緩和が見込まれるため、研究会に積極的に参加し、発表などを行う。2022年度も状況が変わらない場合は、使用用途を人件費に変更し、共同研究者としての短期研究員雇用の可能性も考えておく。
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Research Products
(7 results)