2022 Fiscal Year Research-status Report
精密宇宙論時代における初期揺らぎの統計的性質の徹底解明と超高エネルギー物理の検証
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20K03968
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 修一郎 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 助教 (80529024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙初期ゆらぎ / インフレーション / 原始ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、1)Planck/BICEP2による宇宙マイクロ波背景輻射の観測に基づくインフレーション模型への示唆に関する研究と、2)原始ブラックホールに関する研究を行った。1)では、まずBICEP2により報告のあった原始重力波の振幅に対する上限のアップデートに基づき、観測と整合性のある現象論的模型に関する議論を行い、質量項のみを持つスカラー場が初期宇宙に3つ存在し、その質量に特徴的な階層構造を持っていれば観測と無矛盾な模型を構築できることを明らかにした。さらに、得られた現象論的模型を素粒子論で頻繁に議論されている超対称性理論に基づくsneutrinoシナリオに適応し、初期ゆらぎの生成のみならず、バリオン生成機構も含めて整合性のある初期宇宙モデルを考察した。結果、宇宙マイクロ波背景輻射観測によって得られた初期ゆらぎ生成機構とバリオン生成機構を同時に無矛盾に説明するには、原始重力波の振幅に下限が与えられ、将来のLiteBIRD衛星で検証可能であることを明らかにした。さらに、近年報告された宇宙複屈折の結果から示唆されているパリティ対称性の破れに関して、近傍宇宙ではなくインフレーション中のパリティ対称性の破れに着目し、原始宇宙におけるパリティ対称性の破れにより観測結果を説明できるか、についての考察を行った。結果として、原始宇宙におけるパリティ対称性の破れでは説明が難しく、近傍宇宙でパリティ対称性を破る機構が必要であることを明らかにした。 2)の原始ブラックホールに関しては、初期ゆらぎの非ガウス性を考慮し、原始ブラックホールの生成量を精査、さらに副次的に生成される2次的誘導重力波のスペクトルを詳細に評価した。また、原始ブラックホールの持つスピンを第一原理的に評価し、近年の重力波観測から得られたブラックホール連星の持ちうるスピン分布との比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の進捗状況としては、概要欄でも述べたように、着実に成果を上げることができたが、その研究成果の発表という点ではまだ十分とは言えない状況である。2022年度においてもcovid19の影響により、海外渡航に制限があり、海外での国際会議での研究発表を満足に行えなかった。そのため、旅費として計上していた研究費を2023年度に繰越すこととした。研究期間の延長に伴い、2023年度は研究成果の発表のみならず、さらに研究業績を業績を積んでいきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記でも述べたとおり、2023年度まで研究期間を延長した。これまで満足に行えなかった海外での国際会議における研究成果報告を行っていきたい。またこれまでオンライン会議で進めてきた、スペインに在籍している黒柳氏が所属するグループとの原始ブラックホールに関する国際共同研究も、直接現地に赴き、効率的に進めていく。
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Causes of Carryover |
当初計上していた国外研究会等参加用の旅費が未使用のまま残ったため、次年度使用額が生じた。2023年度は、得られた研究成果を発表するために国際会議参加用の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)