2023 Fiscal Year Research-status Report
精密宇宙論時代における初期揺らぎの統計的性質の徹底解明と超高エネルギー物理の検証
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20K03968
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 修一郎 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 助教 (80529024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙初期ゆらぎ / インフレーション / 原始ブラックホール / 重力波 / 非ガウス性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、暗黒物質の候補として原始ブラックホールが注目を集めているが、その生成メカニズムとしてよく議論されているのが、インフレーション起源の原始密度揺らぎが直接重力崩壊するシナリオである。暗黒物質を説明するためには、原始密度揺らぎによる密度の非一様性は10%程度必要であると考えられており、その様な比較的大きな非一様性生成のための具体的なインフレーション模型も提案されている。その多くに見られる特徴として、生成される原始密度揺らぎが強い非ガウス性を持ちうるということである。Abe et al. JCAP05(2023)044では、非ガウス性を考慮し、原始ブラックホール生成に付随して生成される誘導重力波のスペクトルを詳細に計算し、非ガウス性を考慮しても、原始ブラックホール暗黒物質シナリオを将来の重力波観測で間接的に検証可能であることを明らかにした。 他にも、現在地上重力波望遠鏡で得られている背景重力波強度への上限を用いて、上記誘導重力波を通じた原始密度揺らぎに対する新たな制限を評価した研究や、原始ブラックホールと白色矮星連星の形成可能性と将来の重力波望遠鏡によるその様な連星系の発見可能性を議論した研究などを2023年度中に論文として投稿、2024年度に学術論文誌から発表される予定である。 他にも、修正重力理論の観測的検証に関するレビュー論文のうち、原始揺らぎの観測から重力理論を検証する研究に関するパートの執筆を担当し、2023年6月に発表されたナノヘルツ帯の背景重力波検出を踏まえた、超大質量ブラックホールの形成シナリオとその初期条件への制限に関する論文も発表した。 国際会議、国内研究会の世話人も務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたとおり、複数の論文を発表し、また関連する国際会議、国内研究会の開催に世話人として参加、研究課題に関する情報収集や、関連研究者との議論などを行うことができた。さらに研究期間を延長した分で、大学院生を研究アシスタントとして雇用した。結果として、研究アシスタントとして大学院生の研究が効率的に進み、当初予定していた研究計画のうち、インフラトン場のダイナミクスが変更を受けるモデルにおける初期揺らぎの時間進化に関して、をさらに深い内容で遂行する事ができた。2023年度後半に進めた非ガウス性の新たな検証方法としての誘導重力波に関する研究は、2024年度に論文として発表する準備もできている。研究計画のBに当たる大規模構造における大域的銀河分布に関する研究もN体シミュレーションに基づく結果も得られ、共同研究として順調に進んでおり、2024年度内に論文として発表できる見通しが立っている。このように研究自体は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により、当初の予定より研究期間を延長し、2024年度までを研究期間としたが、これまで記載したとおり、研究は概ね順調に進んでいる。2023年度中にほぼ完成したが、まだ論文として発表してない研究内容もある。特に、具体的な多様なインフレーション模型において予言される非ガウス性の再評価や原始ブラックホール形成に関する非ガウス性の影響の精査、さらにはN体シミュレーションに基づく初期揺らぎの統計的非等方性の影響の評価など、2024年度はまずそれらの研究をまとめ、本研究課題の成果を国内外の研究会で発表していく予定である。さらには、研究計画Aと関連し、初期揺らぎの初期条件としての真空状態を調べる道具としての非ガウス性に着目し、その理論評価を完成させる。また、当初の研究計画にはなかった、新たな非ガウス性の検証方法としての背景重力波非等方性の評価を行い、その結果を論文としてまとめる。研究期間を延長したことにより、当初の計画以上の成果が得られると期待される。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していて、covid19の影響により繰り越した分は、概ね予定通り使用できたが、物品に関しては、所属研究室の計算機が刷新され、そちらで十分賄える見通しが立ったため、研究アシスタントとして大学院生を雇用する費用に充てた。当該アシスタントが進めている研究完成のため、2024年度まで研究期間を延長し、そちらのアシスタント雇用経費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Cosmological gravity probes: Connecting recent theoretical developments to forthcoming observations2023
Author(s)
Arai Shun、Aoki Katsuki、Chinone Yuji、Kimura Rampei、Kobayashi Tsutomu、Miyatake Hironao、Yamauchi Daisuke、Yokoyama Shuichiro、Akitsu K., Hiramatsu T., Hirano S., Kase R., Katsuragawa T., Kobayashi Y., Namikawa T., Nishimachi T., Okumura T., Shiraishi M., Shirasaki M., Sunayama T., Takahashi K., Taruya A., Tokuda J.
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Journal Title
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2023
Pages: 001~105
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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