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2021 Fiscal Year Research-status Report

Geometrical scaling by the gluon saturation picture and thermalization of small systems

Research Project

Project/Area Number 20K03978
Research InstitutionTokyo City University

Principal Investigator

長田 剛  東京都市大学, 理工学部, 教授 (50366845)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords高エネルギー原子核衝突 / 相対論的流体模型 / 直接光子生成 / 幾何学スケーリング
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の2年目にあたる21年度は、高エネルギー原子核衝突反応において生成される直接光子が示す幾何学スケーリングがなぜ横方向の膨張で破れないかを定量的に議論するために、相対論的流体計算コードの開発を中心に進めている。
相対論的原子核衝突で生成される直接光子は、本研究課題の中心的なテーマである幾何学スケーリング則によく従うことが予想されており、また先行している実験データにおいても、その傾向が確認されている。しかし、その比較的大きな系の衝突は、陽子・陽子衝突などで生成される小さな系とは異なり、衝突後にできる高温・高密度の核物質・ハドロン物質の横方向膨張の効果を無視することはできない。一般に、横方向の膨張が生じると、幾何学スケーリングは破れることが期待されるので、実験で得られるデータは、どうして幾何学スケーリングと横方向膨張が同時に現れることができるのか、説明が求められている。
一見矛盾するこれら二つの事実をともに理論の枠組みに内包するには、横方向膨張の初期条件がハッブル則に似た形をとれば良いかも知れない、という着想を最近得た。そこで、本研究課題ではこの仮説を実証すべく、物質の横方向膨張を取り入れた相対論的流体力学に基づく数値計算コードの開発を行うことを短期的な目標として取り組んでいる。また、この研究は、原子核衝突後にどのように物質が熱平衡に向かうのかという、非常に興味深い問題の定量的なアプローチの第1歩として期待される研究になると思われる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1)高温高密度核物質が1次元ブジョルケンスケーリング則に従う、横方向膨張のない場合の直接光子の計算を終えて、試験的に実験データのとの比較を終えている。したがって、横方向膨張の効果として、どのように理論計算が修正を受けるのか、そのベースとなる部分の評価を終えていることになる。
2)また、横方向の膨張を取り入れた相対論的流体模型の文献調査を終え、解析的に計算が可能な部分に関しては確認を終えてる。
3) 横方向膨張を取り入れた相対論的流体力学を導入するためのアルゴリズムを確立し、直接光子を計算するプログラムに実装する段階に入っている。また、プログラミングはpython を利用して行うが、必要なパッケージ等の予備的な調査、収集等は終えている。

Strategy for Future Research Activity

横方向の膨張自由度を考慮した相対論的流体模型で、直接光子のイールドの数値計算ができるようになれば、幾何学的スケーリングを壊さないHubble型の初期条件の制約の中で、実際に観測されている直接光子のデータと計算結果を比較を行う。横方向膨張と幾何学的スケーリングという、一見矛盾する二つの物理が、どうして相対論的原子核衝突で生成される高温・高密度核(ハドロン)物質で実現可能なのか定量的に、また包括的に調べてみたい。
さらに、現在、欧州で行われているLHC実験だけでなく、米国のRHIC実験などのデータなどにも解析の範囲を広げ、幅広いエネルギー領域にわたって、成立が期待されるグルオンの飽和描像との関連も議論したいと考えている。

Causes of Carryover

2年目は、主に研究を遂行するために調査や計算コードを作成するための文献等の購入に充てられた。若干の経費が残り、次年度使用額となったが、これは翌年度分の助成金と合わせて文献購入費や、また数値計算を本格的に稼働するための経費に充てたい。

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Published: 2022-12-28  

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