2023 Fiscal Year Research-status Report
現実的核力に基づく変分法による核物質状態方程式の作成と原始中性子星への応用
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20K03979
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鷹野 正利 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00257198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核物質状態方程式 / 中性子星 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー汎関数を用いた変分法により、絶対零度及び有限温度核物質の状態方程式を計算し、天体現象へと応用することを目指し、今年度は2体核力として中心力、テンソル力、スピン軌道力を考慮した一様中性子物質に対し、絶対零度状態を扱う変分法を拡張し、有限温度中性子物質を扱う処方の構築を進めた。 絶対零度中性子物質に対するエネルギー汎関数では、核力の各成分に対応させて、スピン依存の動径分布関数、テンソル型分布関数、スピン軌道力型分布関数を導入し、これらを用いたエネルギー表式を作成した。そこで先行研究に従い、Schmidt-Pandharipandeの方法を応用して、絶対零度中性子物質に対するエネルギー表式を、有限温度中性子物質の内部エネルギー表式へと拡張する。ここで上記の分布関数は有限温度状態における分布関数へと置き換える。また絶対零度の場合の相互作用を無視したFermi気体に対する分布関数も有限温度状態へと拡張する必要があるが、そこに用いられる単一粒子準位の平均占有確率を中性子の有効質量でパラメター化して表現する。さらにLandauのFermi液体論を採用してエントロピーを表現することにより、有限温度中性子物質の自由エネルギーの表式を作成する。そして有限温度各種分布関数と中性子有効質量について自由エネルギーを最小化する変分計算を行う。 2体核力としてAV8’ポテンシャルを採用して数値計算を行ったところ、大まかに妥当な自由エネルギーの振る舞いが得られたが、まだ数値計算精度が十分ではない。よって最終結果を得るためには今後さらに精密な計算が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題当初よりの研究の遅れが積み重なり、今年度での研究完了が難しくなった。そこで研究期間延長を申請し、承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは中性子物質と対称核物質に重点を置き、優先的にそれらの状態方程式の完成を目指す。そして非対称核物質の状態方程式は、先行研究にてその妥当性が確認されている内挿を用いて整備する可能性も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
研究期間延長を予定したため、2023年度の予算の一部は2024年度に繰り越すことで有効活用することとした。具体的には2024年度の旅費、消耗品費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)