2020 Fiscal Year Research-status Report
二重ベータ崩壊実験のガンマ線背景事象を排除する巨大結像系の開発
Project/Area Number |
20K03983
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三井 唯夫 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20283864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大結像系開発のための、テスト用縮小実験に着手した。一辺30センチメートルの立方体のアクリル容器に液体シンチレータを満たした検出器を、2方向から2つのテスト用結像カメラで測定する「ステレオ検出器」を作成した。これを用いて、2方向からの2次元画像から3次元的な発光点分布を再構成することに成功した。さらに、ガンマ線源としてセシウム137、コバルト60、ベータ線源としてストロンチウム90を用いて3次元再構成を行なった。その結果、縮小版としては、ガンマ線とベータ線の識別が可能であることが示された。結像系の検出器を用いた位置分解能の測定も行い、この手法が逆ベータ崩壊による反電子ニュートリノ測定における、方向検出にも応用出来ることを示した。これらの結果をふまえ、より大型のテスト装置へと発展させるため、物品の購入をすすめた。反射材としてのタイベック、検出器の「バッファー」層に用いる水の劣化を防ぐための紫外線殺菌装置などの購入を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縮小版を用いてのテストは、ほぼ予定どおりである。縮小版を用いての粒子識別が成功したことは、大きな一歩といえる。もちろん、大型化に伴うチャレンジが多く存在するので、計画以上に進展しているとまでは言えない。そこで、少しでも前倒しですすめるよう鋭意努力していくなか、さらに大型の装置の準備にも着手できたことは、順調な進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、縮小版での粒子識別の精度をさらに高め、シミュレーションも用いて「スケーリング」の効果を見積もる。つまり、直径18メートル検出器であるカムランドのスケールまで大型化したときの、予想される性能を精度よく見積もることを目指す。さらに、17インチ光電子増倍管をもちいた第2段階のテスト装置で、30センチメートル検出器と同様の手法で粒子識別を行なう方法の開発をすすめる。
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