2022 Fiscal Year Annual Research Report
二重ベータ崩壊実験のガンマ線背景事象を排除する巨大結像系の開発
Project/Area Number |
20K03983
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三井 唯夫 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20283864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粒子識別 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
アクリル容器に収めた30リットルの液体シンチレータを、結像ミラーとマルチアノード光電子増倍管からなる「シンチレータカメラ」2つを用いて「撮影」し、液体シンチレータの発光パターンを3次元的に再構成することに成功した。装置は、一部、先行研究「ガンマ線・中性子イメージングのための結像系を用いた新しい手法の開発」(基盤研究C, 2017-2019)で作製したものを改良したものである。この装置を用いて、今回はじめて3次元的な再構成に成功し、粒子の液体シンチレータ中での相互作用に関して飛躍的に多くの情報を得る事ができた。それによりベータ線とガンマ線の粒子識別にも成功した。 この「実験室スケール」の装置は、カムランド検出器(1000トン液体シンチレータ)の良い相似形であり、今回カムランド本体でのテストは行なえなかったが、それに匹敵する情報の取得と原理検証を行なうことができた。シンチレータカメラを二つ用いて「ステレオ撮影」した2枚の画像から、3次元再構成を行なうアルゴリズムも今回初めて開発した。データから再構成された3次元分布は、モンテカルロシミュレーションと良く一致した。そこで、再構成された3次元分布上でシンチレーション光の広がりを表すパラメータ「粒子識別パラメータ」を定義した。これまで、それぞれの2次元画像上でパラメータを定義していたのと比べて、情報の喪失は激減した。今回はじめて粒子識別に成功したのはこのためと考えられる。粒子識別は、ベータ線源ストロンチウム90とガンマ線源コバルト60のデータを同じ条件で収集し、粒子識別パラメータの分布を観測し、有意な違いを観測することによって行なった。
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