2020 Fiscal Year Research-status Report
太陽ニュートリノ精密観測に向けた次世代超大型水チェレンコフ検出器用集光装置の開発
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20K03986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 孝臣 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (70437341)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水チェレンコフ検出器 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代超大型水チェレンコフ検出器による太陽ニュートリノの観測感度向上を最終目的とし、検出器の性能向上のための集光装置を開発を行うことです。水チェレンコフ検出器では、ニュートリノ検出の標的になる純水をタンクにおさめ、その周りを囲うように光センサーをタンク壁面に設置します。ニュートリノが反応して生じる荷電粒子は水中でチェレンコフ発光をおこし、この光を光センサーで捉えることでニュートリノを観測します。この光は太陽ニュートリノの場合で光子数十個と大変微弱であるために、光センサーに集光装置を設置することで検出器全体の性能を向上させることが可能です。本研究では、集光装置として円錐を切り出した形のミラーを光センサーの周囲を囲うように設置することで性能の向上を目指します。 本年度は予定に従い、1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について初期研究を行いました。形状の設計についてはGeant4を基礎としたシミュレーションWCSimを用いた集光性能の評価を行いました。こちらのシミュレーションについてはGithubから世界中に広く利用できるように公開されています。また、素材の選定としては複数社から得たアルミニウムおよびインジウムミラーを純水および硫酸ガドリニウム添加水中で加速試験を行い反射率劣化の評価を行いました。製造についてはプロトタイプミラーの製造をそれぞれ行いました。これらの結果については、2020年9月の物理学会で学生による報告が行われました。計画の二年目となる令和三年度については、上記の研究を引き続き行い発展させる予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はあらかじめ予定の通り、1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について初期研究を行いました。 前項目に示した通りいずれも順調な進展を示しています。素材の選定については、当初有力視していたインジウムについて実際のミラーの形成にあたって問題があることが判明しました。これにより一般的に使用されるアルミニウムミラーよりも反射率がやや低くなることが判明しています。また、当初の予測通り純水に対する耐性はインジウムが優れていることが判明しました。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の二年目となる令和三年度については、開発項目である1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について引き続き研究を行い発展させる予定です。ミラーの素材としては、インジウム、アルミニウムに加えて有機多層膜を使用した素材を新たに候補に加え、これに適した形状の設計や製造手法の設計を進める予定です。
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Causes of Carryover |
令和2年度については感染症対策に伴い学会その他に伴う出張がとりやめとなったため、旅費の使用を行いませんでした。 この次年度使用額については、令和3年度における集光装置サンプルの購入に充当する予定です。
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