2022 Fiscal Year Research-status Report
太陽ニュートリノ精密観測に向けた次世代超大型水チェレンコフ検出器用集光装置の開発
Project/Area Number |
20K03986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 孝臣 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (70437341)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水チェレンコフ検出機 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代超大型水チェレンコフ検出器による太陽ニュートリノの観測感度向上を最終目的とし、検出器の性能向上のための集光装置を開発を行うことを 目的としています。水チェレンコフ検出器では、ニュートリノ検出の標的になる純水をタンクにおさめ、その周りを囲うように光センサーをタンク壁面に設置し ます。ニュートリノが反応して生じる荷電粒子は水中でチェレンコフ発光をおこし、この光を光センサーで捉えることでニュートリノを観測します。この光は太 陽ニュートリノの場合で光子数十個と大変微弱であるために、光センサーに集光装置を設置することで検出器全体の性能を向上させることが可能です。本研究で は、集光装置として円錐を切り出した形のミラーを光センサーの周囲を囲うように設置することで性能の向上を目指します。 本年度は昨年度に引き続き、1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について研究を行いました。昨年度新たに検証した誘電体多層膜については、集光ミラーのための柔軟な形成を安価に行うことが困難であることが判明しました。また、これらの結果をふまえ、研究計画にある4. 集光装置実機による性能の検証に向けた準備を行いました。昨年度導入した光学シミュレーションROBAST、高エネルギー実験で広く用いられるシミュレーションGeant4を用いた結果と、実験的に得た集光率を比較することで、集光ミラーの性能評価を行います。計画の最終年度となる令和四年度については、上記の研究を引き続き行い発展させる予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定の通り、1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について引き続き研究を行いました。 また、当初予定していたインジウムおよびアルミニウム製の集光ミラーについて試作を完了しました。4. 集光装置実機による性能の検証 につきまして、感染症対策およびロシア・ウクライナ情勢による半導体を含む実験装置の入手困難により、実験面で研究の進捗はやや遅れております。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の四年目となる令和五年度については、開発項目である1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について引き続き研究を行い発展させる予定 です。また、これまでに開発したインジウム・アルミニウムの集光ミラーについて、実験的に集光の実性能の評価を行う予定です。
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Causes of Carryover |
令和4年度については感染症対策に伴い学会その他に伴う出張がとりやめとなりました。また、ロシア・ウクライナ情勢にともなう物資流通への影響により、予定していた実験装置の購入に遅れが生じました。
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