2022 Fiscal Year Research-status Report
Realization of a photon-photon collider and observation of light-by-light scatterings
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20K03999
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 特定教授 (50253050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実光子弾性散乱 / 光子光子衝突型加速器 / 電子、光子識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請による研究は,量子電磁気学において直接観測がなされていない,実光子弾性散乱の直接観測を目指している。そのための実験装置として光子光子衝突型加速器を構築する。光子光子衝突型加速器は,新たな素粒子反応実験装置として考案されたが,いまだ実現されていない。 2021年度はGAGGとプラスチックシンチレーター,CsIとプラスチックシンチレータを組み合わせた検出器を用いて,電子,陽電子と光子の信号処理による識別性能の系統的調査を行ない粒子識別の基礎データを得た。2020はデータ平均値を用いた解析を行ったのに対し,2021年は事象事のデータを取得するシステムをLabViewを用いて構築し,β線,γ線双方についてデータの取得と解析を行った。 これと並行して信号事象と背景事象を識別し,信号事象を見出すためのデータ解析を数値シミュレーションを継続した。特に光子光子衝突型加速器の強度増加にともなう重複事象の排除性能の検討を行い,散乱断面積の光子偏極依存性の検出可能性を見いだした。 2022年度は2021年度に引き続き,GAGGとプラスチックシンチレーター,CsIとプラスチックシンチレータを組み合わせた検出器を用いて電子,陽電子と光子の識別可能性を検討を行った。2021年度の研究においてデータ収集システムの構築およびそれを用いたデータの取得と解析を行った。2022年はデータ解析手法の研究に重点をおき,定量的なデータの評価を通じたGAGGとCsIの粒子識別能力の比較を行った。研究の結果,この検出システムを用いた評価において宇宙線の混入による背景事象の除去が重要であることが判明した。これは,検出器の改良および適切な放射線源の選択によって可能なことを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検出器による粒子識別性能の研究に関して,2020年度に構築したCsIシンチレータ,GA GGシンチレータ,プラスチックシンチレータからなる入手それらを組み合わせた検出器の性能の系統的な性能を調べた。2022年度はデータ解析の定量かによりさらなる改良点を見いだすという進展をみることができた。 またこの研究のこの分野における独創性などから国際会議Physics2021に招待され口頭発表をおこなった。 一方,中国科学院高能物理学研究所を訪問して実験の実現可能性について議論する予定であったが,2022年も新型コロナウイルスの中国における状況等を考慮し訪問は控えた。検出器の開発研究の結果として現在構築しているシステムを改良が望ましいこと,またその改造は比較的容易でありかつ大きな性能向上が期待されることが,研究期間を延長して実施することが適切であると判断した。そのため当初の予定を延長して2023年度も本研究課題における研究を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
検出器による粒子識別性能の研究に関し,2021年度に構築したシンチレーション検出器を研究により得られた知見をもとに改良する。現在のシステムの上下に新たなプラスチックシンチレーション検出器を配置し宇宙線の飛来を検出できるようにする。これによって収集するデータにおける宇宙線の混入を除去することが可能となる。 これと平行して,放射線源Na22を新しく購入し利用する。この線源は陽電子を放出することが特徴である。陽電子が検出器内で反応すると2つの光子を出す。この2光子事象は本研究における信号と非常に類似したものであり,信号検出性能の評価に最適である。以上の改良と新たな線源により電子光子識別能力の評価の精度向上を図る。 2022年度に計画していた新しい光検出器MPPCの導入はデータ解析に時間を要したために断念した。2023年度はこれを行いたい。 以上のように,本研究課題においては,電子・光子識別能力の評価を重点におくという方針とする。 2023年度も中国を訪問し直接研究者と打ち合わせを行う可能性は不透明である。必要に応じて遠隔ミーティングを行い実験の具体化について議論を行うが,本研究課題においては,電子・光子識別能力の評価を重点におくという方針とする。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせのために旅費を執行しなかったために未執行が生じた,また研究期間の延長が認められたため当該年度(2023年度)に執行すべき部分として繰り越しを行った。 2023年度は以下のような予算執行を計画してる。1)国内および国際学会への参加(約600,000円),2)検出器の改良にかかるシンチレーション結晶および光検出器の購入(600,000円),3)検出器試験のための放射線源の購入(100,000円)。 これらにより現在の残額は全額執行する予定である。
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[Journal Article] Errarum to ”Light-by-Light Scattering in a Photon-Photon Collider”2022
Author(s)
T. Takahashia, G. An, Y. Chen, W. Chou, Y. Huang, W. Liu, W. Lu, J. Lv, G. Pei, S. Pei, C. P. Shen, B. Sun, C. Zhang, C. Zhang
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Journal Title
The European Physical Journal C
Volume: 82
Pages: 404--404
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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