2021 Fiscal Year Research-status Report
Evolution theory and survey observation of double white dwarf merger remnants
Project/Area Number |
20K04010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樫山 和己 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10785744)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 白色矮星 / 時間領域天文学 / 晩期型星 |
Outline of Annual Research Achievements |
木曽観測所Tomo-e Gozenカメラを用いた広視野高速読み出し測光観測を実施した。Tomo-e Gozenカメラの視野内に検出される天体について、ライトカーブの生成とノイズ抽出までを自動で行うパイプラインを作成し、それを用いて白色矮星と晩期型星の秒スケール変動探査を行った。
白色矮星に関してはZwicky Transient Facility(ZTF)が2021年に報告したJ190132.9+145808.7からの単独白色矮星としては最短、およそ7分の周期変動を探査データから自動検出することに成功した。その他、観測視野内にとらえた白色矮星についてもライトカーブの解析を行い、それらをまとめた論文を準備している。また、京都大学岡山観測所のせいめい望遠鏡TriCCSカメラを用いた多バンド同時測光観測による連星白色矮星合体残骸候補の秒スケール変動探査を実施、現在データ解析を進めている。晩期型星に関しては秒スケールでライトカーブが立ち上がるフレア現象を新たに22例検出することに成功した。解析の結果、これらのフレアはこれまでに観測されたM型星の高速フレアの中では最も明るい種族であることがわかった。結果をまとめた論文を投稿準備中である。
理論研究としては、連星白色矮星合体残骸からの磁気駆動風の2次元磁気流体シミュレーションに取り組んでいる。星表面から発射された物質が白色矮星磁気圏に一時的にトラップされ、その後、磁気リコネクションによって解放される、といった、1次元定常解(Kashiyama et al. 2019)の範囲では記述できない新たな効果を確認することができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度末までに行ったTomo-e Gozenカメラを用いた観測と白色矮星の変動探査解析、晩期型星のフレア探査解析を通じて観測、データ解析パイプラインが強固に整備され、今後、他の天体観測への応用も期待できる。
理論研究に関しても計算コードのデバッグ、テスト計算等は完了し、科学的に意味のあるパラメータでの計算、結果の解析に着手しており、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
Tomo-e Gozenカメラを用いた天の川銀河内天体の秒スケール変動探査観測を継続する。また、せいめい望遠鏡TriCCSカメラを用いた多バンド同時測光観測による連星白色矮星合体残骸候補の秒スケール変動探査も継続する。
連星白色矮星合体残骸からの磁気駆動風の2次元磁気流体シミュレーションを完了し、結果を論文にまとめる。また、2次元磁気流体シミュレーションの結果と輻射輸送計算を組み合わせることによって、可視光からX線までの多波長放射スペクトラムを求め、連星白色矮星合体残骸候補(例:IRAS 00500+6713)の観測データと比較、合体残骸シナリオの検証を行う。
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Causes of Carryover |
主にコロナ禍の影響による出張のキャンセル等により予定していたよりも旅費使用が控えられた。次年度、観測データ保存用のHDDに転用する予定である。
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