2023 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データアーカイブに立脚した多変数星形成則の構築
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20K04015
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
小麥 真也 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (90548934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 星形成 / 活動銀河核 / 分子ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究計画では、多変数星形成則に重要であると考えられていた物理変数以外に星形成に影響のあるものが存在する場合にはそれらについて調査を進めることとなっていた。2022年度報告書で明らかにされた通り、星形成はその局所的な重金属の存在量以外にも、ガスの加熱源として銀河中心部の活動銀河核が大きく影響を与える場合がある。本年度は金属量及び活動銀河核からの放射が銀河ガスに与える影響を集中的に調査した。 星形成の母体となる分子雲の主成分である水素分子ガスを定量するにあたって仮定する変換係数は金属量に依存することがわかっている。特に低い金属量において変換係数は大きな値をとるが、その具体的な値はよくわかっていない。Komugi et al. (2023)では低金属量銀河DDO154に対する深いCO観測を野辺山宇宙電波観測所で行い、変換係数に対して世界で最も強い下限をつけることに成功した。さらに衝突銀河NGC4038/9の潮汐力によって形成されたtailで分子ガスを検出し、このような環境では通常のガスー星形成関係とは全くことなる系列に沿うことを示した(Maeda et al. 2024)。潮汐tailにおけるガスの成因について重要な示唆を与える成果である。 活動銀河核からの放射やジェットがガスに与える影響については、Dragonfly銀河のALMA/VLAによる観測を通して2つの銀河の片方から放射されるジェットがもう片方の銀河円盤ガスを加熱する様子が捉えられた(Zhong et al. ,2023, 2024)。クェーサー3C273では中心核が円盤ガス全体に影響を与えるが、得にジェット部分が直撃する領域ではガスの速度分散が大きくなることを示した(Komugi et al. 2022)。
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