2021 Fiscal Year Research-status Report
ALMAで探る大質量星形成領域における窒素を含む複雑な有機分子の起源
Project/Area Number |
20K04025
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
酒井 剛 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20469604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星形成 / 大質量星 / 星間分子 / ALMA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大質量星形成の極初期段階にあると考えられる天体をアルマ望遠鏡で観測し、その化学組成を明らかすることで、大質量星形成領域における窒素を含む複雑な有機分子の起源を解明する。 2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、アルマ望遠鏡の観測提案の募集が実施されなかったが、2021年度は、アルマ望遠鏡の観測提案の募集が実施された。70ミクロンで暗い赤外線暗黒星雲12天体のデータから9天体を選別し、アルマ望遠鏡の観測提案を行った。アルマ望遠鏡の観測提案はgrade Cであるが採択され、一部の観測が2021年度に実施された。今後、さらに観測が実施されれば、データが得られる予定である。 また、大質量星形成初期天体G14.492-00.139のDCO+/N2D+比を調べ、その値が小質量星形成領域に比べ有意に低いことを示した。モデル計算から、DCO+/N2D+比が温度に依存することを示し、G14.492-00.139における低いDCO+/N2D+比は、分子雲コアの温度が、小質量星形成領域に比べ高いためである可能性を示した。初期の分子雲の温度は、様々な分子の生成に影響するため、窒素を含む複雑な有機分子の起源を考える上で重要な結果が得られた。 さらに、アルマで観測された比較的進化の進んた大質量星形成領域の観測データを入手し、化学組成について解析を実施中である。比較的進化の進んだ天体の化学組成について統計的に調べ、化学組成の多様性がどの程度見られるのか調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルマ望遠鏡の観測提案の募集が2021年度には実施され、一部ではあるが観測を実施することができた。今後、データが得られれば、確実に新しい知見が得られる。また、進化の進んだ大質量星形成領域のデータも数十天体分入手でき、解析を進めている。比較的進化の進んだ天体の統計的な研究も確実に実施できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルマ望遠鏡の観測の再提案を行う。採択されれば、確実に全ての天体のデータが得られると期待される。今後、アルマ望遠鏡の観測データが得られたら、すぐに解析を行い、大質量形成極初期にある天体の化学組成を明らかにする。その結果を、進化の進んだ大質量星形成天体や小質量星形成天体と比較し、窒素を含む複雑な有機分子の起源に迫る。進化の進んだ大質量星形成天体については、化学組成の統計的な研究を行い、多様性を調べる。
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Causes of Carryover |
アルマ望遠鏡の観測データの配布は2022年度となる予定であり、ストレージなどの購入を2022年度に行うこととしたため。
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