2023 Fiscal Year Annual Research Report
ALMAで探る大質量星形成領域における窒素を含む複雑な有機分子の起源
Project/Area Number |
20K04025
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
酒井 剛 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20469604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大質量星 / 星間分子 / 重水素化分子 / 赤外線暗黒星雲 / 電波天文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大質量星形成の極初期段階にあると考えられる天体、および比較的進化の進んだ天体をアルマ望遠鏡で観測し、その化学組成を明らかすることで大質量星形成領域における窒素を含む複雑な有機分子の起源を解明する。 活発な大質量星形成領域24天体について、CH3OHの重水素濃縮度を調べた結果、重水素濃縮度の値にばらつきがあり、CH2DOH/CH3OH比は、現在の温度などの物理状態と相関がないこともわかった。CH3OHはダスト上で主に生成されるため、このばらつきの要因は、ダスト上でCH3OHが作られた時の環境の違いを反映していることが示唆される。つまり、大質量星形成領域において、大質量星が形成される前の状態、つまり星なしコアの段階の性質に多様性があることが示唆される結果である。一方、それら天体の複雑な有機分子を調べると、酸素を含む複雑な有機分子の存在量は大きく変わらないが、窒素を含む複雑な有機分子の存在量にばらつきが見られることがわかった。しかし、CH3OHの重水素濃縮度と複雑な有機分子の存在量に相関はなく、複雑な有機分子の存在量のばらつきの原因が星形成前の環境の違いによるものではない可能性が示唆された。 また、大質量星形成のより初期段階にあると考えられる赤外線暗黒星雲をアルマ望遠鏡で観測した結果、分子流を伴う原始星周囲において、CH3OH以外の複雑な有機分子を検出することができなかった。このことから、大質量星形成の極初期段階では、複雑な有機分子の存在量が小質量星形成領域と同程度であることが示唆された。さらに、小質量星形成領域BHB07-11に対するアルマ望遠鏡の観測から、窒素を含む複雑な有機分子の存在量が大質量星形成領域に比べ、有意に低いことも明らかにしており、小質量星形成領域と大質量星形成領域の違いについても改めて確認することができた。
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[Journal Article] FAUST2024
Author(s)
Vastel C.、Sakai T.、Ceccarelli C.、Jim?nez-Serra I.、Alves F.、Balucani N.、Bianchi E.、Bouvier M.、Caselli P.、Chandler C. J.、Charnley S.、Codella C.、De Simone M.、Dulieu F.、Evans L.、Fontani F.、Lefloch B.、Loinard L.、Menard F.、Podio L.、Sabatini G.、Sakai N.、Yamamoto S.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 684
Pages: A189~A189
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research