2021 Fiscal Year Research-status Report
Multi-scale investigation of active galactic nuclei with super-high spatial resolution observations
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20K04029
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岸本 真 京都産業大学, 理学部, 教授 (00733354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な銀河の中心には巨大なブラックホールが存在すると考えられており,その周縁で大きな質量降着及び質量放出現象を起こしている場合が数多くある。このような巨大ブラックホール系は「活動銀河核」と呼ばれている。本研究は,こうしたブラックホール系を,0.1 pc から100 pc のマルチスケールにわたって探査するものである。
本年度はまず4月に,カリフォルニアのCHARA 観測所において,全天で最も明るい1型活動銀河核のリモート観測を行い,ついに 250 m 基線観測を敢行することができた。系外銀河の赤外線観測としては,世界最長基線,すなわち世界最高の空間分解能で観測を行なったことになる。これにより,ミリ秒角(0.1pc)スケールのダスト溶融領域を直接空間分解することが可能になった。この領域ではダスト粒子への輻射圧によってガス全体が加速され,アウトフローが形成されていると考えられており,その場合,系の極方向に向かう広がりが検出されるのではないかと考えられていた。しかし,我々の観測では,極方向とは垂直,すなわち赤道方向に広がりが検出された。これはガスおよびダストの加速機構に重要な制限を与えることになる。これに基づいたアウトフロー発生のシナリオを論文にまとめ,近くAstrophysical Journalに投稿する予定である。0.1 - 10 pc スケールにおいては,4月に予定されていた観測は再びコロナ禍で中止となったが,8月の観測はリモートで実行することができた。しかしながら悪天候により十分なデータを取得することはできなかった。また,10 - 100 pc スケールにおいては,昨年度確立させた,高空間分解能撮像分光データからの3次元構造再構築の手法を,さらに5つの活動銀河核に適用。予測通り,中空砂時計型の3次元構造が浮かび上がってきた。こうした結果を現在投稿論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍でカリフォルニアのCHARA干渉計における超低ノイズ近赤外検出器の導入計画が1年遅れとなってしまっているものの,現在の検出器で,最も明るい活動銀河核については観測を成功させることができ,新しい科学的知見が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年5月に,カリフォルニアのCHARA干渉計を用いたさらなる近赤外観測を予定している。また,2022年10月と2023年3月にチリでの観測時間を提案中である。これらは全てリモート観測となる予定である。これらで0.1 - 10 pc スケールの探査をさらに推進し,すでに得られてきている100 pc スケールの結果と合わせて,活動的現象を見せる巨大ブラックホール系と母銀河の関係を探っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,海外での観測や国際会議が中止あるいはリモートとなって,予定していた旅費が執行されていないため。次年度は状況が改善され,旅費が必要になると見込まれる。
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