2022 Fiscal Year Research-status Report
Multi-scale investigation of active galactic nuclei with super-high spatial resolution observations
Project/Area Number |
20K04029
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岸本 真 京都産業大学, 理学部, 教授 (00733354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙物理学 / 光学赤外線天文学 / 活動銀河 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,様々な銀河の中心には普遍的に巨大なブラックホールが存在すると考えられている。そうしたブラックホールの一部は,周縁で大きな質量降着及び質量放出現象を起こしており,このような銀河中心領域は「活動銀河核」と呼ばれている。本研究は,これらのブラックホール系を,0.1 pc から100 pc のマルチスケールにわたって探査するものである。
2021年4月,カリフォルニアCHARA 干渉計による全天で最も明るい1型活動銀河核の 250 m 基線観測が成功し,これは系外銀河の赤外線観測としては世界最長基線,すなわち世界最高の空間分解能での観測となった。この結果を本年度2022年11月にAstrophysical Journalに発表し,同時に記者発表も行った(多くの新聞やテレビ,インターネット上のニュースに掲載)。この観測はミリ秒角スケール(0.1 pc スケール)のダスト溶融領域を直接空間分解したものだが,これにより,質量降着中の巨大ブラックホール系の周縁における,ガスおよびダストの加速機構の解明を進めることができると考えている。
0.1 - 10 pc スケールにおいては,2022年10月と2023年3月にチリのヨーロッパ南天文台で観測を行い,予想を上回る量のデータを取得することができた。また,10 - 100 pc スケールにおいては,高空間分解能撮像分光データからの3次元構造再構築の手法を,新たに赤外線データに適用し,現在,より詳細な3次元構造の再構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリフォルニアのCHARA干渉計により,系外銀河の赤外線観測で世界最高の空間分解能の観測が成功し,この結果を論文に出版することができた。また,これを多くのメディアを用いて広く公表することができた。さらに,チリにおける中間赤外線での干渉計観測も進めることができ,現在そのデータの解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年4月に,カリフォルニアのCHARA干渉計を用いたさらなる近赤外観測を予定している。また,2023年12月に観測時間を提案中である。これらは全てリモート観測となる予定である。現在解析中の0.1 - 10 pc スケール,および10 - 100 pc スケールのデータと合わせて,マルチスケールで巨大ブラックホール系と母銀河の関係を探っていく。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍による制限が緩和され,国際会議に参加できたものの,観測はリモートで行うこととなったため,予定していた旅費の一部を執行しなかった。しかし一方で,今年度リモート観測で得られた多くのデータや,既存のデータをより効率よく解析するため,次年度にサーバを導入する予定である。
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