2023 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-scale investigation of active galactic nuclei with super-high spatial resolution observations
Project/Area Number |
20K04029
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岸本 真 京都産業大学, 理学部, 教授 (00733354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙物理学 / 光学赤外線天文学 / 活動銀河 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,様々な銀河の中心には普遍的に巨大なブラックホールが存在すると考えられている。そうしたブラックホールの一部は,周縁で大きな質量降着及び質量放出現象を起こしており,このような銀河中心領域は「活動銀河核」と呼ばれている。こうした活動銀河核とその母銀河との相互作用が,銀河の形成・進化過程を決定づけているのではないか。こうした宇宙物理学研究の大きな流れの中で,本研究は,これらの巨大ブラックホール系の構造の本質を理解すべく,0.1 pc から100 pc のマルチスケールにわたって,こうした活動銀河核を探査するものである。
我々のグループは,2021年4月,カリフォルニア CHARA 干渉計を用いて,全天で最も明るい1型活動銀河核の 250 m 基線観測を成功させた。これは系外銀河の赤外線観測としては世界最長基線,すなわち世界最高の空間分解能での観測である。これに続いて本年度は,2023年4月,さらに別の望遠鏡の組み合わせによる 250 m 基線観測を成功させた。そのデータの解析を進めたところ,昨年度に発表した結果,すなわちミリ秒角スケール(0.1 pc スケール)のダスト溶融領域が,中心の巨大ブラックホール付近から噴出する電波ジェットに垂直な構造を持つことを,さらに強固に支持する結果を得た。また,2023年3月にチリのヨーロッパ南天文台VLT干渉計による観測で得た,同じ活動銀河核の 1 pc スケールに対する中間赤外線データの解析を進めてきた。一方,10 - 100 pc スケールにおける可視・赤外線高空間分解能撮像分光データの解析も進行させてきた。
これら3つのスケールの観測結果を統合して,質量降着中の巨大ブラックホール系の周縁における,ガスおよびダストの加速機構および母銀河へのフィードバック効果を,時間軸に沿って議論する論文を出版する予定である。
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