2020 Fiscal Year Research-status Report
すばる望遠鏡超広視野カメラで探る近傍大型銀河の最外縁部構造
Project/Area Number |
20K04031
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岡本 桜子 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (80823377)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 銀河考古学 / 近傍銀河 / 恒星種族 / 銀河形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、すばる望遠鏡の超広視野カメラ(HSC)を使って、複数の近傍円盤銀河を撮像観測して、対象銀河に含まれる個々の星を検出することで、1) 各銀河の恒星種族(年齢/金属量)とその空間分布を明らかにすること、さらには 2)円盤銀河の外縁部構造の普遍性を検証し、その一般的な特徴を統計的に明らかにすることを目的としている。 当該年度は、国立天文台すばる望遠鏡の共同利用のインテンシブプログラムとして採択されている「すばる近傍宇宙論サーベイ」の観測を進め、ターゲットの銀河のうちの1つの銀河NGC4244について全領域の観測を完了した。この銀河についてはパイプラインを使った画像データの一次処理も行い、銀河外縁部の赤色巨星の検出に成功した。 当初の予定では、「すばる近傍宇宙論サーベイ」の観測は当該年度中に終えるはずだったが、天候不順や予期しない望遠鏡装置トラブルの影響により、必要な質で取得できたデータは予定の4割に留まった。そのため追加の観測時間の申請を行い、承認された。以上の進捗状況について、2020年度のすばるユーザーズミーティングでインテンシブレポートとして報告した。 また撮像データを取得済みのM81銀河について、西側領域の解析を進めて恒星を検出し、未知の衛星銀河が観測領域内にはないことを確認した。そして領域内にある既知の矮小銀河2つについて、赤色巨星が進化段階で取りうる最大光度を用いて、距離を見積もった。この矮小銀河の恒星種族やM81との関係については、現在、イギリスの共同研究者と合同で論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国立天文台のすばる望遠鏡共同利用のインテンシブプログラム「すばる近傍宇宙論サーベイ」による観測データの取得が、天候不順や予期しない望遠鏡装置トラブルの影響により、予定の4割に留まった。追加で必要な観測時間は、2021年度後半分までは承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、インテンシブプログラム「すばる近傍宇宙論サーベイ」の観測とデータ解析を進める。個別の銀河について、必要な積分時間と質のデータが取得され次第、一次処理を進めて銀河に含まれる個々の星を検出する。そして恒星の年齢や金属量を見積もるとともに、銀河中心からの同径方向の密度プロファイルや二次元空間分布を明らかにし、先行研究などと比較する。またこれまで得られた成果について、招待されている国際研究会(2021年9月予定)で講演する。天候不順等でデータが取得できずに不足している分について、2021年後期以降の分は、2021年秋に募集される2022年度前期共同利用観測公募で申請を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国内外への移動が制限されたことにより出張がキャンセルされたため、また観測の遅れによりデータ解析に要する物品の購入を先延ばしにしたため、次年度使用額が生じた。繰越分は、計算機やデータストレージ等の物品購入と出張費用として用いる予定である。
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Research Products
(2 results)