2022 Fiscal Year Annual Research Report
すばる望遠鏡超広視野カメラで探る近傍大型銀河の最外縁部構造
Project/Area Number |
20K04031
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岡本 桜子 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (80823377)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 銀河考古学 / 近傍銀河 / 恒星種族 / 銀河形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、すばる望遠鏡の超広視野カメラ(HSC)を使って複数の近傍円盤銀河を撮像観測し、対象銀河に含まれる個々の星を検出することで、1) 各銀河の恒星種族(年齢/金属量)とその空間分布を明らかにすること、さらには 2) 円盤銀河の外縁部構造の普遍性を検証することを目的としている。 最終年度である本年度は、国立天文台のすばる望遠鏡共同利用のインテンシブプログラムとして実施した「すばる近傍宇宙論サーベイ」観測による撮像データの一次処理および測光解析を行なった。その結果、データの得られた5つの近傍銀河全てにおいて、古い恒星からなる外縁部構造(恒星ハロー・厚い円盤)を発見した。その外縁部構造の大きさと含まれる星の平均金属量は、銀河の総光度に応じていた。また複数の銀河のハロー領域に、過去に降着した衛星銀河の残骸である未知の恒星の密度釣果を発見した。またM81銀河の西側領域に矮小銀河に付随する未知の恒星ストリームを発見し、その性質とともに学術論文として発表、および国立天文台からプレスリリースを発表した。また以上の結果を、2022年度日本天文学会秋年会と2022年度のすばるユーザーズミーティングにおいて発表した。 本研究では、銀河系からの距離が約1600万光年以内の円盤銀河のうち、すばる望遠鏡で観測可能な(かつまだ観測されていない)すべての大型銀河をHSCで撮像することを計画していたが、ハワイ島マウナケア山頂の悪天候や装置トラブルによる観測計画の遅延により、目標としていた7つの銀河のうち、データが得られたのは5つに限られた。またそれぞれの銀河について観測エリアは予定より限られたものになった。しかしながら観測したすべての銀河について、古い恒星による外縁部構造を発見し、大型円盤銀河において外縁部構造が普遍性のものであるということを明らかにすることができた。
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Research Products
(5 results)