2021 Fiscal Year Research-status Report
アルマ望遠鏡による吸収線および輝線観測で解明する分子雲の内部構造と中性炭素の分布
Project/Area Number |
20K04034
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
宮本 祐介 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任助教 (00599384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 峻 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任准教授 (70733567)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 星間物質 / 分子雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
星形成の母体である分子雲の数10AUスケールの構造は未解明である。構造記述の基礎となる光解離領域(PDR)モデルでは中性原子は星間紫外線による解離によっ て分子雲の表面に層状に分布すると期待される。しかし、最近の観測から中性炭素原子([CI]) と一酸化炭素(CO) の分布が一致する例が見出されている。この観測結果を説明するモデルとして分子雲が非一様な内部構造を持つClumpy-PDRモデルが提唱されているものの、観測的に未実証であり、本モデルの観測的実証が[CI]研究のみならず分子雲研究における喫緊の課題である。我々は銀河系の背後にあるクェーサーを細いビームと大きなビームそれぞれで観測することにより内部構造の解明を目指す。分子雲内にコンパクトなクランプがある場合は吸収線、希薄ガスが広がっている場合は輝線の検出が期待される。 本研究はアルマCycle7およびASTE共同利用観測において観測時間を確保しており、研究初年度である令和2年度中にデータ取得予定であった。しかし、COVID19により観測所の運用が一年に渡って停止され、さらに観測プログラム完了前に観測シーズンが終了した。そのため、我々はアルマCycle8に観測実行の再提案を行い、採択された。さらに、異なる環境下での分子雲の状態を調べるため、低金属銀河NGC2915の観測についても提案し、これもALMA Cycle8のsupplemental callで採択された。 令和4年度にアルマ望遠鏡からのデータが取得され次第、直ちにデータ解析に取りかかる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 COVID-19の影響によりALMA望遠鏡およびASTE望遠鏡の運用が2020年3月から1年間にわたって停止され、さらに観測プログラムが完全に終了する前に観測シーズンが終了してしまった。そのため、アルマCycle8に観測実行の再提案を行い採択された。また、異なる環境下での分子雲の状態を調べるため、低金属銀河NGC2915の観測提案も行い、これもALMA Cycle8のsupplemental callで採択された。しかしながら、観測データはまだ完全に揃っていない。令和4年度中にデータが取得され次第、直ちに詳細なデータ解析に取りかかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ALMA望遠鏡によってデータが取得され次第、解析に直ちに取りかかる予定である。解析を円滑に実行するため、解析環境の整備を行う。また、部分的ではあるがこれまでに取得されているデータを用いて試験解析を実行する。現在、CIによる分子雲の研究が銀河系内外で注目されており、論文による報告も増えている。CIおよび分子雲構造を調べる上での本研究の独自性、インパクトを明確にするため、最新の結果について引き続き調査を行う。
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Causes of Carryover |
当初、本プロジェクトでは、前年度までの研究結果・議論を基に、解析手法の改良や新たな手法の導入、試験を行い、夏季期間に国内外の研究会に参加することで研究成果を広くアピールする予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、夏季期間に予定されていた研究会は概して中止となった。さらに、新型コロナウィルスの影響で1年間、観測所が運用停止となったため、データの取得が遅れている。次年度、データが取得でき次第、解析を実行できるよう環境を整備する、また、夏季期間に積極的に国内外の研究会に参加し、本プロジェクトの成果を宣伝する。また、研究会で受けたフィードバックをもとに、プロジェクト研究をさらに推進・展開する。
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Research Products
(2 results)