2021 Fiscal Year Research-status Report
ミリ波サブミリ波観測によるフィラメント形成シナリオの普遍性の解明
Project/Area Number |
20K04035
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
島尻 芳人 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任准教授 (90610551)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | フィラメント形成 / 星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーシェル宇宙赤外線望遠鏡(2009-2013 年)による星形成領域の観測から、0.1pc幅の円柱状の細長い構造(フィラメント)が至るところで検出され、(a)乱流によりフ ィラメントが形成、(b)フィラメントの重力により周辺ガスがフィラメントへ流れ込み、 フィラメント質量が増加し重力不安定が起こり、(c)フィラメントから星を生むもととな る密度が高いガスの塊(コア)へ分裂する、といったフィラメント形成シナリオが低質量形成領域に対する観測の結果から提唱されている。
本研究は、低質量星形成領域に対する観測結果をもとに提唱されたフィラメント形成シナリオの普遍性の解明を大目標に、大質量星形成領域や系外銀河におけるフィラメント形成過程を明らかにすることを目指している。初年度は、APEX望遠鏡に搭載されたArTeMiS連続波カメラによる大質量星形成領域に対する探査結果をもとに、本研究計画のためのターゲットの選定を行った。さらに、分子輝線による観測を前倒しし、野辺山45m鏡を用いて希薄ガスを捉えることができる一酸化炭素分子とその同位体(CO, 13CO, C18O)の探査観測を行った。今年度(2年目)は、3年目に予定していた高密度ガスと捉えることができる分子輝線(H13CO+,HCO+, H13CN, HCN)の探査観測を行った。本研究計画に必要なデータを取得することができた。簡易解析の結果、大質量星形成領域におけるフィラメントにおいても、低質量星形成領域と同様に周辺ガスがフィラメントに流入している兆候や内部構造を持っていることが確認することができており、順調に計画が進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に前倒しで2年度目に計画していた観測データを取得できたので、今年度(2年目)は3年目に取得予定であったデータを取得することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目と2年目に取得したデータを解析することで、大質量星形成領域におけるフィラメントの質量成長およびフィラメントからコアへの分裂を運動学的に調査し、低質量星形成領域におけるフィラメントの質量成長と分裂過程の相違点を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、計画していた研究会等がキャンセルになったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求する助成金と合わせて、国内外の研究会への参加に使用し、本研究成果の宣伝を行う予定である。
|