2023 Fiscal Year Research-status Report
ミリ波サブミリ波観測によるフィラメント形成シナリオの普遍性の解明
Project/Area Number |
20K04035
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
島尻 芳人 九州共立大学, 経済学部, 教授 (90610551)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フィラメント形成 / 星形成 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーシェル宇宙赤外線望遠鏡(2009-2013 年)による星形成領域の観測から、0.1pc幅の円柱状の細長い構造(フィラメント)が至るところで検出され、(a)乱流によ りフ ィラメントが形成、(b)フィラメントの重力により周辺ガスがフィラメントへ流れ込み、 フィラメント質量が増加し重力不安定が起こり、(c)フィラメント から星を生むもととな る密度が高いガスの塊(コア)へ分裂する、といったフィラメント形成シナリオが低質量形成領域に対する観測の結果から提唱されてい る。本研究は、低質量星形成領域に対する観測結果をもとに提唱されたフィラメント形成シナリオの普遍性の解明を大目標に、大質量星形成領域や系外銀河にお けるフィラメント形成過程を明らかにすることを目指している。
今年度は、NOEMA干渉計(仏)と野辺山45m鏡電波望遠鏡を用いてオリオン座B分子雲/NGC2024領域にあるフィラメントに対して行った観測の分子輝線データから、フィラメントが分裂して星形成コアが形成されていることを運動学的観点から明らかにした(Shimajiri et al. 2023a)。この研究の副産物として、フィラメントの構造は、トレーサーごとに異なることを観測的に明らかにした。フィラメントを構造を分析する上で、ダイナミックレンジが大きい連続波のデータの分析が重要であることを示した。その連続波の分布を分子輝線のデータから予測するための機械学習モデルの構築にも成功した(Shimajiri et al. 2023b)。さらに、この機械学習モデルの予測精度を大幅に改善することにも成功している。このように順調に計画が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで取得したデータを解析することで、大質量星形成領域におけるフィラメントの質量成長およびフィラメントからコアへの分裂を運動学的に調査し、低質 量星形成領域におけるフィラメントの質量成長と分裂過程の相違点を明らかにする。
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Causes of Carryover |
令和6年度に出版費が無料であったMNRASに論文を投稿する予定であった。しかし、令和5年度秋から、MNRASの論文出版費用が有料となった。そのため、出版費用を確保するため、計画していた対面での打ち合わせをオンラインに切り替えるなどして予算を次年度に繰り越した。
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