2020 Fiscal Year Research-status Report
太陽系創世記解明のための超高精度局所U-Pb年代分析法の開発
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20K04040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河井 洋輔 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90726671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 順 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90452424)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 2次イオン質量分析計 / レーザーポストイオン化 / 局所同位体分析 / 太陽系年代学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次イオン質量分析計(SIMS: Secondary Ion Mass Spectrometer)の高感度化を狙い、1次イオンビームによってスパッタされた試料を、高出力レーザーによってイオン化する2次中性粒子質量分析計(SNMS: Secondary Neutrals Mass Spectrometer)の開発を進めている。 1次イオンビームによって試料表面から叩き出された中性粒子を効率的にイオン化するためには、それらが空間的に大きく広がる前に、試料表面にできるだけ近い位置でレーザー光を集光させる必要がある。しかしながら、現行のレーザー光学系では、集光前のレーザーの裾が試料側面に干渉し、大量のアウトガスを発生させてしまうため、試料表面から大きく離してレーザー光を照射せざるを得ない。 そのため本研究課題では、レーザー光学系の再検討を行っている。試料表面により近い位置でレーザー光を照射することを目的に、R2年度は、凹面・凸面ミラーを組み合わせてレーザー光を平行ビームに整形することで、試料側面に干渉していたレーザー光の裾野を取り除くことを試みた。 結果として、平行ビームの整形については達成することができた。しかしながら、レーザー光の単位面積当たりの強度が上がると、それが試料に直接接触した際のダメージは大きく、光を試料表面に近づけるためには、光軸のアライメントを厳密に設定する必要があることがわかった。また、ポストイオン化のためには、レンズを用いてさらに光を集光する必要があるが、非線形効果によって超短パルスレーザーの波形が乱されることも分かった。本目的を達成するためには、別のアプローチを検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、コロナ禍の影響で研究に割けるエフォートが大きく減った。物品の調達にも支障があり、手持ちの部材で実験を進めることを余儀なくされた。また実験装置の不具合が頻発し、その対処に追われた。ここでも、コロナ禍の影響で、例年よりも修理の実施に時間がかかった。このような制約下で研究を進めたが、結論として、上述した理由から、本来考えていたプランの再検討が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初考えていたプラン(凹面・凸面ミラーを組み合わせてレーザー光を平行ビームに整形する)を検討し直す必要がある。 そのため、光学素子を真空チャンバー内に入れることを設計条件に組み入れ、レーザー光学系の再設計を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で研究の遂行が大きく阻害された。また学会参加についてもオンラインでの開催のため、旅費という概念がなくなり、経費を当初の計画より大幅に節約することができた。
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