2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on long-range effects of object-plasma interactions in space
Project/Area Number |
20K04041
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三宅 洋平 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (50547396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙プラズマ / 境界領域プラズマ / 固体プラズマ相互作用 / 超高層物理学 / 二次荷電粒子放出 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、固体表面への中性粒子衝突に起因する二次荷電粒子放出が重要な役割を果たす固体プラズマ相互作用様態について新たな知見を獲得した。このような相互作用は太陽系内の特定の惑星電離圏や小天体環境の探査において顕著である。具体的にはカッシーニ探査機の静電プローブ測定結果を契機として、土星電離圏における粒子環境で優位な割合を占める水分子中性粒子の探査機表面への衝突による二次電子放出に着目し、探査機帯電数値シミュレーションを実施した。その結果、二次電子電流密度が概ね数A/m2を超過すると探査機を正に帯電させうることが示された。この中性粒子衝突に伴う二次荷電粒子放出による衛星帯電様態への作用は、彗星コマ高密度プラズマ環境においても重要であることを明らかにした。両環境では二次イオン放出の役割についても検討を実施した。二次イオンは熱速度が小さいため、衛星表面付近に滞留する傾向があり、高密度の正電荷領域を形成する。このようにして形成された二次イオン雲は、衛星の直近に電位バリアを形成し、二次イオン・二次電子・光電子・彗星起源背景電子の挙動に影響を及ぼすことを明らかにした。当研究成果は固体プラズマ相互作用の興味深い一様態である一方、その波及距離は概ねデバイ長以内の空間スケールとなる。 研究実施期間全体を通して、本研究の主題である固体プラズマ相互作用に関して①表面帯電の特異性によって生じる荷電粒子の異常反射・散乱、②プラズマ-固体境界層で生じる電子速度分布変化が原因となる電磁・静電波動励起、③中性粒子衝突に起因する固体表面からの荷電粒子放出過程、という新たな側面に光を当てることに成功した。これらの内①と②に関して、一般の静電シース物理で言及されるデバイ長スケールを大きく超える長距離波及効果を発現する可能性を示した。
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