2022 Fiscal Year Research-status Report
Orbital evolution of Centaurs and transport of materials in the Solar system
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20K04054
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
樋口 有理可 京都産業大学, 理学部, 准教授 (90597139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝士 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 講師 (40280565)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制限三体問題 / ケンタウルス |
Outline of Annual Research Achievements |
木星と海王星の間に軌道を持ち、惑星と1:1共鳴に入っていない天体をケンタウルスと呼ぶ。ケンタウルスは4個の巨大惑星からの摂動を受けるため軌道が不安定で、力学的寿命は数百万年から数千万年と短い。そのため、ケンタウルスの起源は海王星以遠にある天体で、それらがケンタウルス領域に定常的に供給されているのだと考えられている。この物質移動に重要な役割を果たすのが、海王星をはじめとする惑星との重力相互作用である。最初は海王星とのみ相互作用を持つ軌道にあった天体が、天王星、土星、木星とより内側の惑星と軌道交差するように進化する。以上の進化では、惑星重力の影響は近接遭遇による散乱という形で記述できる。よって、ケンタウルス領域には惑星が4個あるが軌道進化の素過程は制限三体問題で記述できる。 令和4年度はケンタウルスの軌道進化を円制限三体問題の重ね合わせで記述し、天体の動径方向移動や軌道離心率・軌道傾斜角の変化の傾向を解析的に表すことを行った。特に、ある惑星の重力支配下にあった天体が別の惑星の重力支配下へと遷移する過程に着目した。よく知られた円制限三体問題の保存量であるティスランパラメタ(ヤコビエネルギーを近似し軌道要素で表したもの)をこの2惑星について表し、一般の軌道要素(軌道長半径・離心率・軌道傾斜角)ではなく、それを用いて注目する天体の軌道を表した。新たなパラメタ平面で天体の内側・外側への進化のしやすさの違いを議論することが可能となった。また解析解を検証するための数値計算も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析的に求めた軌道進化の過程を観測的にも検証する予定であったが、コロナ禍であったことや研究代表者の異動などがあり観測提案書の作成には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き解析解の導出、特に太陽系天体一般に対して使いやすい指標の導出を試みる。同時に、解析解の妥当性を検証するための大規模数値計算を進める。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議がコロナ禍のために開催が令和5年度に再再延期されたこと、令和4年度からの所属機関の業務の都合により予定の国際会議への参加を見送ったことが主な理由である。 再再延期された国際会議は令和5年度に開催されるため、その参加費用などとして使用する予定である。
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