2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本近海を網羅する高解像度粒子追跡データベースの構築
Project/Area Number |
20K04059
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松村 義正 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70631399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 聖夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報基盤センター), 准研究副主任 (40512843)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 粒子追跡 / 数値海洋モデル / 微細構造 / 水平拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
多重ネスティング手法により日本近海全域を1/180°(約500m) の格子間隔で覆う高解像度数値海洋モデルを開発し、2013年1月-11月を対象とする数値積分を実施した。水深200m以深の密度場をデータ同化による再解析値に緩和することで、黒潮流路等の大スケールの流動場を再現しつつ、表層のサブメソスケール渦やストリーマ等の微細構造を広域モデルとしてはこれまでにない高い分解能でシミュレートすることに成功した。 得られた表層高解像度流動場を用いて網羅的な粒子追跡実験を実施した。具体的には、領域全域に対して毎日0時に水平 2x2 格子に1個 (約1km 間隔)の割合で粒子を投入し、1時間毎に全粒子の座標と経験水温/塩分を記録している。 任意の時空間領域を指定すると膨大な数の粒子データから該当粒子を抽出し、その軌跡を取得・描画可能なシステムを構築した。例えば特定日時に特定海域に存在する粒子はどこからどのような経路でどのくらいの時間をかけてその場所に到達したのか、をポストプロセスのみで高速に図示することが可能である。 10km四方の閉領域内に投入した粒子群の軌跡とその包絡線の時間発展から、表層流動場の微細構造に起因する粒子の水平拡散を定量的に評価した。黒潮粒軸に沿った強い水平シア領域では包絡線は引き延ばされて歪むが、これは強シア域では拡散が顕著な非等方性を持つことを意味する。得られた定量的な知見は粗い解像度の数値モデルでの水平拡散パラメタ化に活用できる。 本研究の成果物である日本近海全域の高解像度流動場及び網羅的粒子追跡データは、溶存/浮遊物質や遊泳能力をもたない卵・仔魚等の経路推定等に広く応用可能であり、今後の学際的な応用研究が期待できる。
|
Research Products
(6 results)